2020 Fiscal Year Research-status Report
日本紅斑熱における新たな媒介生物としてのヤマビルとその吸血被害の実態
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19K23972
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山藤 栄一郎 長崎大学, 熱帯医学研究所, 客員教授 (30849542)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 日本紅斑熱 / ヤマビル / リケッチア / ヒル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、①ヤマビルからRickettsia japonica DNAの検出を試み、②本疾患の流行地域における、媒介生物による被害状況と、Rickettsia japonica抗体陽性率との相関を評価し、媒介生物の地理的クラスターの同定を試み、流行地域における効率的な疾病対策に役立てることを目的として施行したものである。 ①ヤマビル採集とRickettsia japonicaの検出:今年度は新型コロナ流行の影響のため、計画を予定通り行うことができなかったが、合計175匹のヤマビルを南房総で数カ所で採集した。そして、ヤマビルからRickettsia japonicaの検出を試みるため、PCRに必要な試薬、チューブなどの消耗品を購入した。千葉県衛生研究所でリアルタイムPCR検査を行い、1回目 は2019年9月に64匹、2回目は2021年3月に111匹のヤマビルからRickettsia japonicaの遺伝子検出を試みたが、検出することはできなかった。 ②住民の媒介生物への曝露とRickettsia japonica抗体陽性率の調査:千葉県勝浦市、大多喜町における住民検診、同県鴨川市の亀田メディカルセンターにおける人間ドック、の合計3箇所でヤマビルやマダニの被害状況に関するアンケート調査を同意の得られた人に対して施行した。その結果、勝浦市で293人、大多喜町で1072人、亀田総合病院で1021人から同意が得られ、アンケートを回収した。同様に、同意が得られた人の残血清を用いた各種ダニ媒介疾患の抗体価調査は、現在測定中であり、来年度中に全検体の抗体価測定は終了する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症流行のため、当初の計画通りにヤマビル採集を行うことができなかった。 また同じ理由により、南房総におけるいくつかの市町村で住民検診が中止となってしまったため、3箇所の検診あるいは人間ドック(勝浦市・大多喜町・亀田メディカルセンター)での研究実施と規模を縮小して実施せざるを得なかった。さらに、そのうち2箇所では、検診実施時期が新型コロナウイルス感染症流行のため、延期されたため、研究実施時期も合わせて遅延することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
①ヤマビル採集とRickettsia japonicaの検出 ヤマビルの採集を追加で実施し、リアルタイムPCR検査によるRickettsia japonica検出を試みる。
②住民の媒介生物への曝露とRickettsia japonica抗体陽性率の調査 アンケート調査結果を集計・解析し、同意の得られた人における残血清を用いて、各種ダニ媒介疾患抗体価の測定を完了する。そしてその結果から、マダニやヤマビルなどがどれくらいの頻度でどの地域で曝露されているか、そしてRickettsia japonicaをはじめとする抗体陽性率との関連について地理的統計解析などを行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行により、当初計画していた出張ができなくなったため。流行状況にもよるが、繰越額はヤマビル採集を試みるに当てる予定である。
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