2019 Fiscal Year Research-status Report
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫におけるPD-1リガンド制御因子の網羅的探索
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19K23979
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
新垣 清登 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 特任研究員 (90814450)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、B細胞リンパ腫におけるPD-1リガンド発現制御機構およびその機能的役割を明らかにすることを目的として、B細胞株におけるPD-1リガンド発現制御因子を同定し、同定されたPD-1リガンド発現制御因子のin vivoにおける役割の検討を行う。 現在までに、CRISPR-Cas9システムを用いたスクリーニング実験を実施した。具体的には、まず様々なB細胞株におけるPD-1リガンド発現解析を行うことにより、CRISPRスクリーニング対象細胞株を選定した。次に、B細胞におけin silicoデータの解析を実施し、PD-1リガンド発現制御候補転写因子群を選定し、これらの転写因子群を標的とするsgRNAカスタムライブラリーを作成した。更に、CRISPRライブラリーをPCR反応で増幅し、ギブソンアセンブリ反応を実施することにより、レンチウイルスベクターにクローニングした。コンピテントセルにエレクトロポレーションすることによりレンチウイルスベクターを増幅した。増幅したレンチウイルスベクターのバーコードシーケンスを実施し、ぞれぞれのsgRNAが均等に導入されていることを確認した。B細胞株にCRISPRライブラリーを導入し、フローサイトメトリーでPD-1リガンドの発現変動が認められた細胞分画をフローサイトメトリーでソートした。ソートした細胞のゲノムDNAを抽出し、PCR反応により増幅した。PCR産物の次世代シーケンスを実施することにより、それぞれの細胞分画に含まれるsgRNAに対するリード数を算出した。シーケンスデータの解析により、PD-1リガンド発現制御因子を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
CRISPRスクリーニングにより、新規のPD-1リガンド発現制御因子とともに、これまでPD-1リガンドの発現を制御することが報告されている転写因子が同定された。更に、これらの転写因子を標的とするsgRNAを個別に導入することによりPD-1リガンドの発現変化が確認された。そのため、CRISPRスクリーニングにより得られた結果は妥当なものであると考えられ、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、同定したPD-1リガンド発現制御因子のin vivoにおける役割の検証を行う。マウスB細胞リンパ腫細胞株に、PD-1リガンド発現制御因子のノックアウトおよび過剰発現を導入し、マウスモデルを用いた実験を計画している。これらの研究の遂行により、解明したPD-1リガンド発現制御機構の生体内における意義について明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
マウスモデルを用いた実験および研究結果発表・情報収集を目的とした国内・国際学会等への参加のために、次年度使用額が生じた。sgRNA・ウイルス作成試薬、フローサイトメトリー用抗体、クロマチン免疫沈降およびウエスタンブロット用抗体と、旅費のための使用を計画している。
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