2019 Fiscal Year Research-status Report
Lipidomics解析を用いた糖尿病発症機構における脂肪酸代謝異常の検討
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19K23999
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中西 尚子 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (40843446)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 脂肪酸分析 / 糖尿病発症機構 / 腸内細菌叢 / リピドミクス / 発酵性食物繊維 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、食生活の欧米化による脂質摂取の増加とそれに伴う腸内細菌叢の異常が糖尿病発症に寄与する機序解明のため、マウスモデルにおいて食餌の変化による腸内細菌叢の評価とリピドミクス(GC/MS脂肪酸分析)を用いた各臓器における脂肪酸プロファイルを網羅的に評価する研究計画をすすめている。発酵性食物繊維は腸内細菌叢を改変することで知られていることから、①通常食 ②デキストリン含有高脂肪高ショ糖食(HFHSD + デキストリン) ③発酵性食物繊維含有高脂肪高ショ糖食(HFHSD+イヌリン)、④不溶性食物繊維含有高脂肪高ショ糖食(HFHSD + セルロース)を12週間給餌したC57B/6Jマウスの各臓器・血液・便を比較検討した。通常食と比べて高脂肪高ショ糖食摂取群では、明らかな肝臓内脂肪と内臓脂肪量の増加と糖代謝の悪化を認めたが、発酵性食物繊維のイヌリンを摂取することで、肝臓内脂肪と内臓脂肪量の明らかな減少が認められた。また、GC/MSによる各臓器の脂肪酸分析では、肝臓においてイヌリン群で中鎖・長鎖飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸が減少していた。肝臓内だけでなく骨格筋・血清中でも同様に脂肪酸が変化していた。ステアリン酸のみは群間差は認めなかった。このように発酵性食物繊維投与による糖・脂質代謝の変化を確認できており、今後その作用機序解明のため、各臓器の糖・脂質代謝に関わる遺伝子発現の変化を検討するとともに腸内細菌の機能解析を行う予定である。また、コホート研究に登録されている糖尿病患者において血清の脂肪酸分析を行い、脂肪酸プロファイルと食事習慣、糖代謝の関連を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
8週齢の雄C57B6/Jマウスを6匹ずつ4群に分け、①通常食 ②デキストリン含有高脂肪高ショ糖食(HFHSD + デキストリン) ③発酵性食物繊維含有高脂肪高ショ糖食(HFHSD+イヌリン)、④不溶性食物繊維含有高脂肪高ショ糖食(HFHSD + セルロース)を12週間給餌したC57B/6Jマウスを比較検討した。糖代謝・インスリン抵抗性の評価、肝組織像の比較、慢性炎症について自然免疫系細胞をフローサイトメトリー法を用いた評価を行った。また各臓器・門脈血・体循環血・空腸便・虫垂便でGC/MSを用いた脂肪酸分析を行った。2019年度の研究計画をおおむね遂行し結果を解析中であることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
発酵性食物繊維投与による脂質代謝の改善のメカニズムを解明のため、各臓器の糖・脂質代謝に関わる遺伝子発現の変化を検討するとともに腸内細菌の機能解析を行う予定である。また、食餌性耐糖能障害を発症させたマウスモデルに対する発酵性食物繊維投与による糖脂質代謝の改善効果の検討をおこなう予定である。さらに、コホート研究に登録されている糖尿病患者において血清の脂肪酸分析を行い、脂肪酸プロファイルと食事習慣、糖代謝の関連を検討する。
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