2019 Fiscal Year Research-status Report
口腔の健康は全身の健康に影響するか?:自然実験による因果推論
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19K24060
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 貴文 東北大学, 歯学研究科, 助教 (10850612)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 社会疫学 / 因果推論 / 自然実験 / 歯科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、東日本大震災の被災前後の調査参加者を対象に、社会的決定要因を大きく変化させた「震災の発生」が、追跡期間中の対象者の口腔衛生状態の変化を引き起こし、その結果全身の健康状態がどのように変化するかを定量的に明らかにすることである。世界的にも、大規模災害の発生の前後で調査を行っている研究は少なく、さらに災害の発生直後だけでなく、復興過程の中長期的な影響を検討している研究はほとんどない。本研究は東日本大震災発生以前より現在まで、継続して採得されたデータを用いるため、災害前後の変化の影響を調べる“Natural-experiment study”を行う。このような希少価値を有するコホートデータは世界的にも貴重であり、得られる学術的価値は非常に高いと考えられる。
今年度は本研究課題で使用する予定の日本老年学的評価研究機構(JAGES)2019年度調査を実施した。当初の予定と異なり、本研究で用いる予定であった日本老年学的評価研究機構(JAGES)2019年度調査の実施が諸般の事情により数か月遅れが生じた。 一方で、既存データでの震災の影響が口腔の健康の悪化を通じて全身の健康の悪化に至るかを検証することも並行して進めていた。震災の影響が口腔の健康(例えば現在歯数)にどのような影響を与えているのかを明らかにするために、固定効果分析を行い、その関連を推定した。結果として、被災後2年、4年いずれの段階でも被災による家屋被害はその後の残存歯の減少に有意に影響を与えていたことが明らかになった。現在論文を作成しており、投稿する予定である。最終年度は本結果を踏まえて、2019年度調査データと併せて解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定と異なり、本研究で用いる予定であった日本老年学的評価研究機構(JAGES)2019年度調査の実施が諸般の事情により数か月遅れが生じていた。 一方、当初の予定であったプレ分析はすでに終了し、東北ー国立台湾・国立陽明デンタルシンポジウムにおいて発表を行っている。現在論文作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年調査のデータクリーニング作業、パネルデータセット構築作業を今年の夏ころを目途に進めてゆきたいと考えている。その後、順次解析を行う予定である。 併せて、論文投稿などもすすめる。
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Causes of Carryover |
前年度実施した調査費用の支払いが一部処理が完了していない状態である。また、今年度は調査データのクリーニング作業、データセットの構築作業が発生するため、こちらについて支出を行う予定である。
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