2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K24100
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中園 史子 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (90836256)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | ナノバブル水 / EDTA溶液 |
Outline of Annual Research Achievements |
根管治療時のスメアー層除去に用いるEDTA溶液は、脱灰により歯の機械的強度を減少させるため、頻回使用すると歯根破折のリスクを高めてしまう。本研究の目的は、ヒト永久歯において、新規根管洗浄液としてナノバブル水を用いた場合のスメアー層の除去効果を、EDTA溶液の場合と比較することにより、EDTA溶液の代替としてのナノバブル水の有効性を明らかにすることである。長崎大学病院臨床研究倫理委員会に研究計画を申請し、許可を取得した(許可番号:20021005)。 試料を試作し、操作型電子顕微鏡で観察可能か確認するための予備実験を行った。長崎大学病院口腔外科にて抜歯した、根管治療されていないヒト永久歯を収集した。ルーペで5倍に拡大した視野で髄腔開拡後、解剖学的根尖孔の位置で作業長を決定し、次亜塩素酸ナトリウム溶液で洗浄しながらニッケルチタンファイル(Wave One Gold Medium, Dentsply Sirona)を用いて抜髄し、35号02テーパーのKファイル(MANI)でアピカルストップの形成を確認した。抜髄した歯ごとに、①生理食塩水 ②EDTAの2つの薬液のいずれかを根管内に2分間満たした。吸引による根管乾燥後、歯冠を切断して歯根を残し、拡大した根管を損傷しないようにディスクにて切れ込みを入れ、破骨鉗子で分割し、拡大した根管の断面が見える状態にした。その後、2%グルタルアルデヒド溶液に浸漬して固定し、エタノール脱水して乾燥後、白金でコーティングし、走査型電子顕微鏡(Minidcope,日立 TM-1000)にて観察した。 予備実験により、抜歯直後の歯を保存液で保管し、十分に拡大した根管で、よく洗浄し、根管に損傷を与えずに分割できれば、スメアー層の除去状態は十分に観察できるものと判断できた。今後は、抜去歯を提供してくださる患者さまの同意を取得した上で、本実験に入る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備実験にて本実験へ移行できると判断できたため、すぐにでも本実験開始できるが、試料となる抜去歯の収集にやや難ありと考えている。 現在、コロナウイルス感染対策による患者数の減少により、長崎大学病院口腔外科での外科処置が少なくなっており、目標数の抜去歯を獲得できるかどうかが鍵である。口腔外科に依頼し、少しずつ収集できるようにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
同意を取得したヒト永久歯9歯を収集し、抜髄後、根管の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、画像解析ソフトImage JでSEM画像の象牙細管開口部の面積を計測し、一元配置分散分析を行う。
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Causes of Carryover |
実験機材については、倫理委員会の許可取得後、予備実験を行ってから揃える計画であったため、今年度の使用額が少額になっている。次年度は、学会参加や論文投稿なども控えており、支出額が増えることが予想される。
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