2020 Fiscal Year Research-status Report
The effectiveness of long-term care services offered prior to care recipients' home death
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19K24161
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 計大 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (40850037)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 高齢者 / 終末期 / 介護 / 死亡場所 / 在宅死 / 介護給付費等実態統計 / 人口動態調査 / 介護従事者数 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの高齢者が最期まで慣れ親しんだ自宅で過ごすことを望んでおり、死亡場所は終末期ケアに対する高齢者やその家族の満足度を示す一つの指標として研究されている。2020年度は、自治体の介護従事者数と高齢者の在宅死亡割合との関係を検討した。 介護給付費実態調査と人口動態統計死亡票、医療施設調査、介護サービス施設・事業所調査の個票データとその他の政府公表集計データを用いて、全国1706の自治体を対象とした2008年度、2011年度、2014年度のパネルデータを作成した。被説明変数は外因死した者を除いた在宅死亡割合とした。説明変数は訪問サービス(訪問介護、訪問看護、訪問入浴、福祉用具貸与を含む)、通所サービス(通所介護、通所リハビリテーションを含む)、ショートステイサービス(短期入所生活介護)、介護施設サービス(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、認知症対応型共同生活介護、特定入居者生活介護を含む)に従事している介護従事者常勤換算数(65歳以上人口当たり)とした。共変量を調整し、固定効果モデルを都道府県のクラスター頑健標準誤差を用いて最小二乗法で推定した。 その結果、自治体の65歳以上人口1000人あたり1人の通所サービス介護従事者が増えると、在宅死亡割合が0.09%高いことがわかった。また、統計学的には有意でないものの、訪問サービスの介護従事者数が多いと在宅死亡割合は高い傾向があり、逆にショートステイや介護施設サービスの介護従事者数が多いと在宅死亡割合が低い傾向があった。 高齢者が通所サービスを利用することで、介護者の介護負担感を和らげ、高齢者の自宅療養に対する安心感や自信につながっている可能性がある。50%以上の高齢者が在宅死を望んでいるにも関わらず、在宅死亡割合が10%前後である現状を考慮すると、自治体は通所サービスの介護従事者数を確保する必要があるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、すべての分析を完了する予定であった。しかし、COVID-19流行の影響により使用データへのアクセスが制限された期間があったため、予定していた分析を終了することができず、事業期間を延長することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、個人単位の分析で要介護高齢者の居宅介護サービスの利用頻度が死亡場所にどのような影響を与えているのかを検討する。その結果からは居宅介護サービスの質の向上につながる知見が得られる可能性がある。また、これらの研究を通して、急速に高齢化する他国の社会福祉政策立案のための一助となることを目指す。
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Causes of Carryover |
COVID-19流行により、出席を予定していた学会がオンラインで実施され、交通費や宿泊費がかからなかったためである。また、データへのアクセス制限期間による分析の遅れによって論文の英文校正費や出版料の支払いも遅れた。次年度の学会もオンラインでの実施が多いことが予想されるため、主に論文出版のために研究費を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)