2019 Fiscal Year Research-status Report
既存健診項目で算出できる脂肪肝指数の健診での実用化に向けた疫学的検討
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19K24174
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
平田 あや 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (20845739)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 脂肪肝 / Fatty liver index / 動脈硬化性疾患 / 危険因子 / 地域住民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、特定健診の法定項目である中性脂肪、γ-GTP、腹囲、BMIを用いて算出できる脂肪肝指数:fatty liver index (FLI)の健診における実用化に向け、その有用性を検証することを目的としている。令和元年度は、FLIの脂肪肝診断能を評価するため、自覚的に健康な都市住民を対象に研究を実施している神戸研究の参加者のうち、75歳未満を対象に腹部超音波検査による脂肪肝の評価を行った。また同時点におけるFLIの算出に必要な検査項目の測定を実施した。腹部超音波検査を実施した74名のうち、18名(24%)に脂肪肝を認め、このうちの14名が軽度脂肪肝、4名が中等度以上の脂肪肝であった。引き続き神戸研究の参加者を対象にこれらの測定を行い、FLIの脂肪肝診断能を評価するための分析を行う予定である。また、FLIの動脈硬化性疾患危険因子に対する予測因子としてのエビデンスを得るため、羽曳野市が2013年度に実施した特定健診受診者8,704名の縦断データベースを用いてFLIと5年後の糖尿病発症リスクとの関連を検討した。2013年度のベースライン時点で糖尿病の既往がある者などを除外した5,326名を対象に解析を行った。その結果、平均観察期間は男性では3.0年、女性では3.2年で、この間にそれぞれ116名、129名の糖尿病新規発症者を認め、男性、女性ともにFLIの高い集団ほど糖尿病発症リスクが有意に上昇していた。この知見はFLIが将来の糖尿病発症の有意な予測因子であることを示唆するものであり、FLIの有用性に関する重要なエビデンスと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年12月より神戸研究に簡易のポータブル型超音波診断装置を新規導入し、75歳未満の参加者を対象に脂肪肝の評価を行った。現時点で74名の測定を終えており、おおむね順調に進展している。FLIと動脈硬化性疾患危険因子の関連については、羽曳野市で実施した特定健診のデータベースを用いてFLIと糖尿病をアウトカムとした分析を行い、有意な結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和二年度は引き続き神戸研究の参加者を対象に超音波検査による脂肪肝の評価を行い、同時点で測定した検査項目から算出したFLIの脂肪肝診断能に関する分析・評価を行う。またFLIと動脈硬化性疾患危険因子の関連についても引き続き検証を行う。
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Causes of Carryover |
令和元年度は研究費の採択(8月)以降の実施となり、初年度に予定していた消耗品の使用が次年度へ持ち越しとなったため。
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