2020 Fiscal Year Research-status Report
再発・転移期以降のがん患者とその家族のACPを促進するための看護支援ガイドの開発
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19K24179
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
橋爪 由樹 東京医療保健大学, 医療保健学部, 助教 (90851395)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | Advance Care Planning |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「再発・転移期以降のがん患者とその家族のACPを促進するための看護援助ガイドの開発」とし、看護師が再発・転移期以降のがん患者とその家族の“終生期に向けた対話”状況を把握した上で、患者と家族に対話に関する情報提供を行い、Advance Care Planning(以下、ACP)を促進する看護支援ガイドを開発することを目的に研究を進めている。 2019~2020年度は、再発・転移期~終末期(予後の宣告時もしくは積極的治療の中止に関する説明を受けた時)、終末期~亡くなるまでの2期にわけて、がん患者の遺族を対象とし、がん患者とその家族の中で行われた対話について研究を進めてきた。その結果、対話の内容について再発・転移期~終末期、終末期~亡くなるまでを比較した際に、同様のテーマであっても詳細な内容やその背景にある思いの変化が明確になった。対話されていた内容として、治療方針や病状説明に関すること、日々の生活の過ごし方などがあげられている。具体例として再発・転移期~終末期では治療の変更についてどう考えているかという対話であったものが、終末期以降は積極的治療を中止するかどうか、それに伴い予後に関する対話が行われるといったことが明らかになった。またインタビュー時に話したいと思ったが話せなかった内容も調査した結果、あえて話さなかったものと話しておけばよかったという後悔に繋がっているものがあることが示された。この中には死への思いや家族としての思いや死後の家族に対する言葉などがあげられた。これらが本研究におけるACPを促進するための看護援助ガイド作成の重要な項目になっていくのではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、当初の研究計画ではインタビューを行い、ACPを促進するための看護援助ガイドを精錬していく時期としていたが、COVID-19の影響により実施困難となったため計画を変更した。以前より行っていた再発・転移期~終末期(予後の宣告時もしくは積極的治療の中止に関する説明を受けた時)、終末期~亡くなるまでの2期にわけて、がん患者とその家族の中で行われた対話について研究を進めてきた。これは、ACPを促進するための看護援助ガイド作成において実際の対話場面について理解することが重要であると考えたためである。研究の中で、実際に話したことについてはその背景にある思いと対象者数による対話の経験数について明らかにした。また、話し合いたいと考えていたが話すことができなかった内容についても調査し、話せずに死後に遺族が後悔していたというデータからそれらの対話が患者・家族にとってどのような意味があるのか、またあえて話さなかった背景なども踏まえて、ACPを促進するための看護援助ガイド作成に向けて研究を進めている。 またACPを促進するための看護援助ガイドの核となる内容について、国内文献・海外文献それぞれにおいて文献検討を行いながら、各研究者がACPをどのように定義し、何を重要と考えてACPについて研究しているのかを深め、本研究におけるACPの核となる内容に関して検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、研究目的に沿って現在行っている研究の継続、およびACPを促進するための看護援助ガイドを作成し、妥当性を確認することを目標として検討している。 現在は前述の通り、(1)再発・転移期~終末期、終末期~亡くなるまでの対話に関する研究、(2)ACPに関する文献検討を進めている。(1)再発・転移期~終末期、終末期~亡くなるまでの対話に関する研究については、結果の最終確認をしており、この内容が明確になったところでACPのガイドに含めていきたい項目について検討を進めていく予定である。(2)ACPに関する文献検討については、国内文献・海外文献それぞれについて、「がん」「ACP」と検索し入手可能な文献を収集し、ACPをどのように定義しているか、どういった研究を行っているかをまとめながら、本研究におけるACPの核となる部分を明確にしていきたいと考えている。 上記(1)(2)が終了したら、ACPを促進するための看護援助ガイドの概要を作成する。その際には、がん患者とその家族の自由意志の上で、対話を進めていく際の対話の項目を明示していきたいと考えている。その後、看護師によるグループインタビューを行い、臨床における経験を踏まえたガイドの妥当性の確認を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度については、2020年度にCOVID-19により行うことのできなかったACPの経験のある看護師を対象としたフォーカスグループインタビューの使用物品の準備や対象者に対する謝礼、および逐語録作成などの過程において使用していく予定である。
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