2019 Fiscal Year Research-status Report
野生鳥獣肉による食餌性感染症罹患リスクの低減に関する研究
Project/Area Number |
19K24244
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
加藤 礼識 別府大学, 食物栄養科学部, 講師 (60847565)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 野生鳥獣肉 / 食餌性感染症 / 食品衛生 / 狩猟 / 有害鳥獣駆除 / ジビエ肉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は野生鳥獣肉が食餌性感染症に関わるような汚染にさらされるポイントを、捕獲時及び解体時の2点と仮定し捕獲方法及び解体方法の差異によって食餌性感染症リスクに違いがあるのかを検討する記述疫学研究である。初年度は、捕獲方法・解体方法の違う野生鳥獣肉の拭取り検査を実施し、寒天培地におい細菌培養して汚染度の評価を試みている。 罠猟と銃猟によるの狩猟方法による汚染度の違いに関しては、有意な差は証明されず、捕獲方法による汚染度に差異はないものと示唆された。しかし、解体方法による汚染度の違いに関しては、猟師に伝わる伝統的な野外解体時と食品衛生法に基づく営業許可を得た施設での解体時では、野生鳥獣肉の細菌汚染度に明確な差が発生した。野生鳥獣肉の食品としての衛生状態の差は、解体の方法によって決まることが示唆された。なお、銃猟による捕獲時に内蔵損傷した個体(ボディヒット個体)であっても、管理された施設での解体を行った場合には、細菌増殖は認められず、銃猟による内蔵損傷が汚染の差につながることは証明できない。 野生鳥獣肉からの危害防除として、放射線照射による殺滅菌を実施し、危害微生物の抑制及び防除を計画し、10KGYでの滅菌実験も実施している。放射線照射による殺滅菌に関しては、照射後の野生鳥獣肉を拭取り細菌培養を実施したが、微生物抑制効果は得られ、細菌の増殖を認めることはなかったが、照射前のサンプルと比較し、独特の強いケモノ臭の発生を認めている。このケモノ臭は食用には適さないほどの臭気があり、実施した10KGYでの照射は、食品加工をしての選択には至らないものと考えられる。今後、照射線量の変更を行い、微生物抑制効果が得られ、なおかつ臭気発生のない線量の検索が必要となる。 本研究については進行中ではあるが、現状で知りえたことに関して、関連学会での発表を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に関しては、ほぼ計画通りに進展した。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックによる影響も少なからず受けており、今後に関しては研究の遂行に遅延が発生することも予測される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後については、野生鳥獣肉に対する食品照射を重ね、食品衛生学的な清潔度を保つことのできる最低の照射線量の検索が中心となる。初年度の照射実験により、食品照射による危害微生物の抑制は確認ができたが、照射による臭気変化が発生したため、食品の安全性の確保という以前に食品としての価値を失うことになった。臭気変化を起こさずに危害微生物を抑制できる線量を検索する。 現状で研究計画に変更はないが、新型コロナウイルスによる社会機能停止もあり、計画通りの実施が遂行できるか不透明な部分は存在する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる移動制限により、予定していた捕獲活動の旅費・交通費の不使用が生じた。
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