2020 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of neural mechanism of perceptual transparency
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19K24367
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
馬場 美香 玉川大学, 脳科学研究所, 研究員 (30844592)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 質感 / 透明感知覚 / IT野 / マカクザル / 電気生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、現実世界の複雑で多様な透明感・半透明感に関する知覚を担う脳内神経機構を明らかにするため、質感認知機能をもつと考えられるマカクザルの視覚野腹側経路からニューロン活動を記録した。 実験をおこなった一頭のマカクザル下側頭皮質中央部の上側頭溝下壁において、様々な形状・透明度・光沢や明るさの組み合わせの物体画像に対してニューロンがどのように応答するかを記録した。その結果、この領域には、ある特定の透明度をもつ物体に対してのみ強く応答するようなニューロンが存在することがわかった。そのようなニューロンの応答は、刺激画像中のピクセルをシャッフルし局所的な特徴量を壊したコントロール画像群に対しては減弱する、または選択性が失われることもわかった。透明物体に選択的応答を示すニューロンの性質は様々で、透明度の高い物体に強く応答するニューロンもあれば、中くらいの透明度に最もよく応答するニューロンも存在した。また、光沢の強弱や明るさにかかわらず特定の透明度の物体に強く反応するニューロンが存在した一方、特定の光沢や明るさと透明度の組み合わせをもつ物体のみに強く反応するニューロンも存在した。このような透明度の違いに対して異なる応答を示すニューロンは、記録した領域においてある特定の範囲内に限局して存在していることもわかった。 実物体のもつ様々な透明感・半透明感を見分ける脳内神経機構については、光を透過する物体のモデル化やCG画像作成の難しさなどから先行研究がほとんどなされていない。特に、サルにおける視覚野のニューロン活動を記録した例は本研究が初めてであると思われ、ヒトや動物がもつ複雑な透明感知覚を解明するために、大変重要な一歩となったと考えられる。
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Research Products
(1 results)