2020 Fiscal Year Research-status Report
Phenological impacts of climate change on Japanese plants and animals
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19K24390
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
大西 有子 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 助教 (30738117)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 気候変動 / 温暖化影響評価 / 生物季節変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、新型コロナウイルスの影響による自宅勤務体制や国内外への出張制限により、実質的に研究に割ける時間も機会も大幅に制約された。その中で、進められた作業としては、基本的なデータ整備と、文献の収集およびレビュー、そして解析手法の試行と検討であった。具体的には、全国の生物季節観測データを、気象庁ホームページからダウンロードし、生物季節データセットを入手した。そしてPDF文書に記載された生物季節の日付を、統計ソフトRでの解析に使うために、データのフォーマットの変換の方法を検討した。これは、もともとは人材を雇用してデータ入力を依頼する予定であったが、新型コロナウイルスの影響で新規の人材雇用が難しくなったためである。複数のPDF変換ソフトを試行・検討した結果、最も精度の高いソフトを入手し、データの変換を実施した。ただし、ソフトによる一括変換の場合、変換ミスが一定の割合で起こることを確認しているが、現在のところ、変換ミスの修正までは終了していない。解析に関しては、サクラなど複数の種類の植物に関して、基礎的な解析の試行を行うとともに、最近の関連文献を調査し、これをレビューした。解析の方法については、当初は研究協力者と打ち合わせのもと、最新の分析手法を取り入れる方針だったが、対面での打ち合わせが叶わなかったため、基本的な分析のみを実施した。研究成果として発表するまでには至らなかったが、日本全国の生物季節のデータを、さまざまな解析が可能なフォーマットに整備し、データベース化したことは、今後の研究の進展に関して、大きな意義があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスにより、研究協力者との打ち合わせのための出張ができなかった。また、追加の生物季節データを得るための出張等もできなかった。データ入力の補助業務について、人の雇用を予定していたが、リモート勤務の希望者が増え、条件の折り合いがつかず、雇用できなかった。また、全般的に、保育所での子供の預かり時間が制限されたことなどにより、研究に割ける時間が想定より少なくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
当面は人を雇用せず、精度の良いソフトウェアを利用して、PDF文書からデータを抽出することで対応する。また、打ち合わせに関しては、できる限りオンラインや電話で対応する。当初予定していたデータセットの整備はほぼ終了し、分析のためのプログラミングも軽微な修正を残すのみとなっているため、まずはこれまで終了分に関して、プログラムを実施し、分析と論文執筆をすすめる。次に、海外出張の制限は今後も続くと思われるため、論文のオープンアクセス化や、成果の一般向けの共有(ウェブサイトまたは出版物)等、成果の普及活動に時間と予算を充てることとする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、所属機関から出張が制限されていたため、出張を伴う研究ができなかった。また、子供の保育園への登園自粛等も含め、自宅で研究を実施することが難しく、時間がとれなかった。次年度はタイミングを見計らい、緊急事態宣言の合間などに出張を実施する。海外の成果発表予定については、その多くがオンラインになっていることから、渡航費等の未使用分を、学会参加費と、執筆論文のオープンアクセス費用として利用し、成果の普及のために活用したいと考えている。また、当初予定していた気象庁の生物季節観測が多くの生物で中止されたことから、民間データの購入、または民間資料からのデータ構築(にかかる人件費)により、データセットを拡充することに予算を使用する予定である。
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