2020 Fiscal Year Research-status Report
グラファイト質金鉱石のバイオハイドロメタラジーの学理
Project/Area Number |
19KK0135
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笹木 圭子 九州大学, 工学研究院, 教授 (30311525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 一 九州大学, 工学研究院, 准教授 (10706386)
金田 隆 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20243909)
GUO BINGLIN 九州大学, 工学研究院, 学術研究員 (60839588)
KONADU KOJO・TWUM 九州大学, 工学研究院, 学術研究員 (40873394)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | グラファイト質金鉱石 / シアン化抽出 / QEMSCAN / 炭化度 / リグニン分解酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
リグニン分解性酵素による超難処理金鉱石中のグラファイト質の分解過程において生ずる分解中間産物が鉱物粒子の造粒化を起こすことがわかっている。この造粒化が金の回収率を高める妨げになっている可能性があり、これを回避する方策として、架橋剤として働いている可能性の最も高い第二鉄イオン(Fe3+)をプロセスから除去し、金回収率が向上することが明らかとなった。 また、金(Au)と銀(Ag)を同時に含むグラファイト質金鉱石では、それぞれの存在様式が異なるために、Auの抽出には酵素処理を施さなくてもほぼ100%の回収率を示したものの、Agの抽出率は酵素処理前では30%台にとどまっていたところが、酵素処理を追加した逐次バイオ法ではほぼ100%に達した。 酵素反応後の固体残渣のキャラクタリゼーションとして、豪州カーティン大学におけるQEMSCAN解析は先方の責任者の異動により、予定通り進まなかったが、その代わりに、グラファイト質のモデルである活性炭を基質とした酵素処理の固体残渣抽出物をGCMS分析によって酵素処理後の固体残渣の特性化をはかった。その結果、単環あるいは複環芳香族炭化水素を経由して脂肪族炭化水素が表面残留中間体として生ずる反応ルートが推定された。官能基の乏しい脂肪族炭化水素にまで分解されれば、酵素処理後の微粒子の造粒化による金の埋没から回収ロスという流れを回避できるものと考えられる。また、酵素活性は60℃程度の高温域が最大となるものの、この温度では一方で分解産物の多量体化も進み、金粒子の埋没など負の要素が出てくることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル試料の酵素反応後の金抽出率の評価はできているが、豪州カーティン大学におけるQEMSCAN解析は先方の責任者の異動により、予定通り進まなかった。しかし、その代わりに、石炭試料のQEMSCAN観察および解析に詳しい豪州南オーストラリア大学の研究者と話し合いができ、現在当方で用意した試料の一部を先方に送ってある。2021年度の早期にに観察、結果の議論をして、問題なければ残りの試料の観察と進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画の炭化度の異なる炭素質金鉱石の入手、キャラクタリゼーションは前倒しで完了している。carubamate 樹脂をもちいたブリケットの作成、QEMSCANの観察及び解析を豪州南オーストラリア大学とともに進めていく。 当初アルカリ浸出の可能性も想定していたが、第一段階目の硫化鉱物分解過程で大量のFe3+を酸化剤として使うため、洗浄除去したとしても残留分による沈殿形成を避けられず、計画から除くこととした。 酵素処理前後のグラファイト質分解の評価をRaman分光法により行い、シアン化により金の回収率を求める。それぞれのステップの固体残渣中の金含有率は、酸分解による湿式法のほか、より試料量を多く要する乾式法によってもダブルチェックしていく。
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Causes of Carryover |
豪州カーティン大学におけるQEMSCAN観察およびそのための試料調製が予定通り進まなかったため、次年度に繰り越しすることとした。次年度には、日本で前処理だけでも進められるように、前処理装置およびこのために必要な消耗品を購入する計画である。
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Research Products
(10 results)