2019 Fiscal Year Research-status Report
嗅覚感応デジタルゲームを応用した認知症予防プログラムの国際共同研究
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19KK0246
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
杉原 百合子 同志社女子大学, 看護学部, 准教授 (90555179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武地 一 藤田医科大学, 医学部, 教授 (10314197)
山本 晃輔 大阪産業大学, 国際学部, 准教授 (60554079)
岩崎 陽子 嵯峨美術短期大学, その他部局等, 准教授 (70424992)
横光 健吾 立命館大学, 総合心理学部, 助教 (70822154)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | 認知症予防 / 嗅覚 / デジタルゲーム / スウェーデン / なつかしい匂い |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①日本・スウェーデン共同で「嗅覚感応デジタルデバイスゲームを応用した認知症予防プログラム」を開発すること、②開発した認知症予防プログラムの高齢者に対する効果を縦断的に測定すること、である。具体的には、認知症の診療・ケア及び 高齢者のための匂いのアート制作に携わり、その効果測定をしてきた日本チームと、匂いをデバイスに取り入れたゲームを開発してきたスウェーデンチームが、学際的に統合した新しい研究ネットワークを築き、「嗅覚刺激を伴うデジタルゲーム」という認知症予防にむけた具体的なツールの開発とその効果測定を目指すものである。 今年度は、まず日本側のメンバー間で認知症予防に嗅覚やゲームを活用することに関するそれぞれの専門分野からの意見交換と情報共有を実施した。その後、日本とスウェーデン両国のこれまでの研究成果の提示と今後の方針を定めるために2020年1月29日にロンドン(Central Saint Martis,LVMH Lecture Theatre E003)でシンポジウム(Smell,Games,Are and Well-being)を開催し、またその前後で複数回の打ち合わせを行い、十分な研究交流と問題の共有を行った。 その成果を発展させるかたちで、既存のオンライン脳トレ等も参考にしつつ、嗅覚訓練を取り入れるゲーミフィケーション案を検討した。またゲームによる効果測定の方法についても検討した。現在、その一つとして、嗅覚と記憶を応用したゲームアプリの制作に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画は、① 先行研究に関する情報交換、② 既に開発されているゲームを一定期間使用した高齢者の認知機能の予備調査、③ 両国における高齢者の認知機能を測定する適切な指標作りの3点であった。 ①については、スウェーデンのNosewiseはこれまでに開発した嗅覚デバイスゲームについて、またOUSOSプロジェクトは嗅覚ゲーム、高齢者の嗅覚低下と認知機能などの知見を提供し、日本からは、認知症ケアの知見や、アートやデザインの手法で快適空間を構成するためにこれまでに実施した「なつかしい匂い」の調査結果等を提供し、お互いのこれまでの研究についての十分な情報共有が実施できた。 ②については、既に開発されているゲームを一定期間使用した高齢者の認知機能の変化に関するデータ等を利用し、高齢者の諸感覚に馴染みやすく、意欲をもって継続可能な、ゲームのインターフェースのデザイン、匂いの種類や出方など、認知症予防のためのゲーム作成に向けた要件を絞り込むことができた。さらにそれを活用したゲームアプリの開発に既に取り組んでいる。 ③ 両国における高齢者の認知機能を測定する適切な指標作りについては、両国で高齢者の認知機能を測定する指標を統一するための適切な指標を現在検討中である。 以上のことから、おおむね順調に進展していると、判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在日本側で開発中のゲームアプリの完成を目指している。デザインや動作概要はほぼ完成しており、今後はシステム上の調整を行い完成を目指していく予定である。現在開発中のアプリ以外のゲーム案もいくつか検討しており、開発に向けての検討を重ねていく。 また、心理学や医療・看護の分野の研究メンバーは、ゲームの効果測定のための認知機能測定指標を作成していく予定である。現時点では、MMSEや認知機能に関する検査を介入前後で実施し、経時的には簡易的な指標で測定していくことを計画している。 今年度2月の時点では、8月には日本の研究者がスウェーデン・ストックホルムとマルメに出向き、現在日本側で活溌中のゲームアプリを含む諸案を両国間で検討し、高齢者が継続して実施可能なゲームに仕上げていく予定であった。しかし、その後の新型コロナウィルス感染症による世界情勢を踏まえ、両国間の往来については、未定である。ただし、今後もWeb会議等を利用し、両国間の情報交換等は密に行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度の計画としてパソコンの購入を計画していたが、今年度の購入を見送った。また、今年度、研究者全員がスウェーデンに渡航予定であったが、本務との調整がつかず見送った研究者もいた。 次年度の物品費、アプリ開発費として使用予定である。
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Research Products
(4 results)