2023 Fiscal Year Research-status Report
Green tide control at Great Lakes using possible grazers
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19KK0273
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山室 真澄 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (80344208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
管原 庄吾 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 講師 (30721302)
小室 隆 関東学院大学, 経済学部, 講師 (40782561)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | Cladopphora / 五大湖 / 栄養塩 / 硫化水素 / 沿岸魚 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年8月7日~15 日にかけて、五大湖の現地調査を行った。現地ではUSGS Great Lakes Science CenterのMary Anne Evans氏とMurulee Byappanahalli氏に協力・同行頂いた。オンタリオ湖5地点、エリー湖7地点の湖岸で観察・採水を行った。湖岸に打ち上げられた大型藻類からは、肉眼で識別できる底生動物は見つからなかった。また視認できる範囲の湖底でも底生動物は見当たらなかった。上記12地点のうち9地点で環境DNAによる底生動物と魚類の解析を行った。全地点から底生動物が検出されなかったが、実際に不在なのか、湖底直上水ではなく底層水を採水した為かは判別できなかった。魚類についてはシオグサが打ち上がっている湖岸が、打ち上がっていない湖岸よりも検出種数が著しく低かった。この原因として魚の生息種数が実際に少ない、あるいはシオクサの破片を含む夾雑物の影響が考えられた。全12地点において、表層水、湖岸に打ち上がった水草を手で軽く絞った水、シャベルを用いて湖岸に穴を掘って湧出した水を対象にEC・pH・水温をセンサーで計測し、アンモニア・正リン酸・硫化水素・メタンを分析するための前処理を米国滞在中に行い、帰国後分析を行った。オンタリオ湖の表層水のpHは,8.0~8.6と比較的高い値を示した。湖水が緑色を呈していたことから光合成の影響と考えられた。打ち上がった藻類から搾り取った水のpHは6.8~7.4と低かったことから、水際で分解が進行していたと考えられた。搾り取った水の一部からは高濃度のアンモニアと正リン酸が検出され、僅かではあるが硫化水素も検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID19の蔓延により行えなかった現地調査を、2023年度に行うことができた。本研究では「五大湖で湖岸にシオクサが打ち上がったまま堆積する原因は捕食者が不在であるため」との仮説を立てていたが、現地調査により捕食者がいないことを確認できた。さらには堆積したシオクサから絞った水から硫化水素が検出されたことから、シオクサが捕食者にとって栄養価が無い可能性に加え、硫化水素が発生することで捕食者が近寄らない可能性も考えられた。このように仮説の検証に加えて想定していなかった原因も確認することができ、本研究の目的の大部分は2023年度の調査で達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は前年度に得られた水質データをとりまとめて論文化を目指す。シオクサが打ち上げられた湖岸に底生動物が見当たらなかった点については、2023年度訪米の際に関係研究者から過去のデータに関する情報をいただいたので、それらをレビューしていつ頃からいなくなったかの特定を目指す。環境DNAについては、現地との調整がつけば2024年度に再度訪米し、底生動物に特定した湖底直上水のサンプリングを行う。また事前に夾雑物の影響を受けないような前処理法を開発し、その方法を用いて前処理を行い、解析にかける。
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Causes of Carryover |
本研究では複数年度での現地調査を予定していたが、世界的なCOVID19感染により、最初の現地調査が2023年度となった。この為、2023年度にはそれまでに使用できていなかった海外調査旅費が持ち越しされていて、2023年度の現地調査旅費を行っても差額が次年度使用額となった。2024年度についても現地共同研究者との都合がつけば再度現地調査を行う予定で、現地調査旅費、および現地調査準備などで使用する予定である。
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