2010 Fiscal Year Self-evaluation Report
Synthetic Studies on Biologically Functional Molecules
Project/Area Number |
20002004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Specially Promoted Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
Chemistry
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Research Institution | Nagoya University (2012) The University of Tokyo (2008-2011) |
Principal Investigator |
FUKUYAMA Tohru The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 教授 (10272486)
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Project Period (FY) |
2008 – 2012
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Keywords | 天然有機化合物 / 全合成 / アルカロイド / 医薬品 / 生体機能分子 |
Research Abstract |
日本は高齢化社会を迎え、がんやアルツハイマー病といった難治性疾患の克服に対する社会的要請が強く、新規医薬品の開発に対する期待は極めて大きい。とりわけ新規医薬品のシーズとして、幅広い構造および生理活性の多様性を持つ天然有機化合物に注目が集まっている。しかしながら天然有機化合物は複雑な構造を有する化合物が多く、優れた活性を有していながらも、その複雑さ故に化合物およびその類縁体の合成・供給に問題を生じ、医薬品開発にまで至らないことがある。 そこで本研究では、合成デザインの卓抜性を追求することにより、医薬品として期待される複雑な構造を有する天然有機化合物の量的供給を実現し、更には確立した合成ルートを基盤とし天然からは得られない新規類縁体の合成を行い、新規医薬品のリード化合物を創出することを目的としている。 具体的には以下に述べる生体機能分子の合成研究を行う。エクチナサイジン743は、欧米の臨床試験での好成績の結果、近年欧州にて軟部組織肉腫治療薬として承認された化合物である。しかしホヤから微量にしか得られない希少性から、合成による大量かつ安定的な供給が熱望されている。本研究ではこれまでの合成研究で得られた知見をもとに、全く新しい合成ルートを立案し、超効率的かつ実用的な合成ルートの開発を行う。ビンブラスチンはニチニチソウより単離されるアルカロイドであり、悪性リンパ腫に対する抗ガン剤として用いられている。本研究では、天然からは決して得ることのできない類縁体の網羅的合成を行い、様々な作用スペクトルをもつ新規抗ガン剤の開発へとつなげる。その他本研究では、新しいタイプの抗ガン剤として期待されるプロテアソーム阻害剤サリノスポラミドA、強い鎮痛作用を有しガン疼痛治療に欠くことの出来ないモルヒネ、アセチルコリンエステラーゼ阻害活性を有しアルツハイマー病治療への応用が期待されるヒューパジンA、セロトニン受容体に作用し多彩な生理活性を示す麦角アルカロイドの基本骨格となるリゼルグ酸、多種類の複素環を含む特異な構造を有し興味深い生理活性の期待できるチャーテリン類、アマサスピラミド類の効率的合成法の確立、申請者らが独自の実用的合成経路を確立している抗ウイルス活性を有するユーディストミン、抗インフルエンザ薬オセルタミビル(タミフル[○!R])の類縁体合成を行う。
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Research Products
(14 results)