2008 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカイン非依存性細胞増殖のHTLV-1発がんにおける意義
Project/Area Number |
20012014
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤井 雅寛 Niigata University, 医歯学系, 教授 (30183099)
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Keywords | HTLV-1 / HTLV-2 / ATL / PDZ / Scribble / 癌抑制遺伝子 / Ezrin / 免疫学的シナプス |
Research Abstract |
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は成人T細胞白血病の原因ウイルスである。一方で、類縁ウイルスHTLV-2の白血病発症への関与を示す結果は得られていない。我々はこれまでに, HTLV-1とHTLV-2の病原性の違いに、それぞれのトランスフォーミング蛋白Tax1とTax2が深く関与していることを報告してきた。Tax1はマウスのT細胞株(CTLL-2)の細胞増殖をIL-2依存性から非依存性に形質転換するが、その活性はTax2よりも著名に亢進し、この違いに、Tax1のみが持つPDZドメイン結合配列(PBM)が深く関与していた。本研究では, Tax1のPBMに結合する宿主因子の1つとして癌抑制遺伝子Scribbleを同定した。特異抗体を用いた免疫共沈法により、ScribbleがTax1とは結合するが、Tax2には結合しないこと、この結合に、Tax1のPBMが関与することが示された。HTLV-1非感染細胞中のScribbleは細胞膜直下に均等に局在していたが、HTLV-1感染細胞においてはウロポッド様部位に凝集し、Tax1と共局在していた。一方で、ウロポッドのマーカーの1つであるEzrinはTax1とは共局在しておらず、Scribble複合体とは反対極に集積する傾向が観察された。このようなEzrinの集積は非感染細胞では観察されなかった。Scribbleは細胞の極性、免疫学的シナプス形成、遊走などに関与し、ハエにおいては癌抑制遺伝子として機能する。HTLV-1感染細胞においてはScribbleの細胞内局在がTax1を介して変化することが明らかになった。このScribbleの局在変化はHTLV-1感染細胞においでは観察されたが、HTLV-2感染細胞では観察されず、HTLV-1の病原性に関与する可能性が高い。
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Research Products
(7 results)