2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム不安定性を示すマウスを利用した新しいがん抑制遺伝子の単離とその機能解析
Project/Area Number |
20012016
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 健之 Kanazawa University, がん研究所, 教授 (30262075)
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Keywords | ゲノム不安定性 / レトロウイルス / 挿入変異 / 疾患モデルマウス / がん関連遺伝子 / ヒストン修飾 |
Research Abstract |
申請者は、レトロウイルスの感染によって白血病を発症するモデルマウスを用いて、ウイルス挿入の標的となる遺伝子群を網羅的に同定し、その機能や相互作用の解析を通して、発がんに関わる遺伝子の探索を行っている。従来の挿入変異では、ウイルス挿入で発現や機能が活性化されるがん遺伝子が主に同定され、不活性化されるがん抑制遺伝子は、ほとんど同定されなかった。そこで、ゲノム不安定性を示す変異マウスにウイルス挿入変異を適用し、両アリルへの変異導入効率を高めて、がん抑制遺伝子を効率的に単離する独自の実験系を確立した。現在までに、既知の有力な候補を含めてがん抑制遺伝子の候補を十数個単離することに成功した。新しい候補遺伝子産物の中には、ヒストンの脱メチル化酵素のモチーフであるJmjCドメインをもつタンパク質が複数含まれており、発がんにおけるヒストンのメチル化制御の重要性が明らかになった。これまでにヒストンのメチル化を制御する酵素の多く(メチル化酵素17種と脱メチル化酵素11種)が、ウイルス挿入の標的となることを見いだした。ヒストンの翻訳後修飾は、転写制御、DNA複製、X染色体不活性化など様々な生物学的現象に関与しており、特にヒストンのアセチル化と発がんの関係は重要で、脱アセチル化酵素の阻害剤が抗がん剤として開発されている。メチル化を制御する酵素群もまた、がんの新しい分子標的の有力な候補と考えられるため、同定した酵素について、ヒト肺がんにおける発現解析や、遺伝子発現に与える影響の網羅的な解析を進行している。最近、これらの酵素のなかに、ヒストンばかりでなく、p53などの転写制御因子や、NFkBやWntシグナル経路の因子に影響を与える酵素が複数存在することがわかった。すなわち、リン酸化などの翻訳後修飾と同様、メチル化も、広くタンパク質の機能の調節に重要である証拠と考えられる。
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Research Products
(5 results)