2008 Fiscal Year Annual Research Report
炎症/発癌の下地形成における上皮細胞間バリアー機能不全
Project/Area Number |
20012031
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
月田 早智子 Osaka University, 生命機能研究科, 教授 (00188517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 淳 大阪大学, 生命機能研究科, 特任助教 (00362525)
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Keywords | 上皮細胞シート / バリアー機能 / クローディン15 / 細胞間バリア / タイトジャンクション |
Research Abstract |
本研究課題の目的である、がんの下地形成に重要な、上皮細胞シートの細胞間のバリアーを通過するparacellularの経路による物質透過性について、1、その機能異常により生じた炎症などの生体反応の解析、2、生理活性物質の細胞間バリアーを介した透過性、3、透過性制御方法について検討を進めた。 1、細胞間バリアーの物質透過性の機能異常により生じる炎症などの生体反応の解析 がんの下地形成の機序のひとつとして、細胞間タイトジャンクションのバリアーの崩壊とそれにともない生じる慢性的な炎症が考えられる。電気生理学的な測定システムを用いて、腸管タイトジャンクションのバリアー機能の変化を誘導する物質について検討を行った。その結果、これまでに報告のあるTAPやprotamineでは、マウス小腸では大きな変化を誘導しなかった。一方、conductanceの低下とカチオン選択的なイオンの透過性の低下を認める因子を見いだすこともでき、その一部の投与では、DSS潰瘍を生じたモデルマウスで炎症が減弱する傾向がみられ、タイトジャンクションバリアーの強化が炎症を抑えうる実験的な根拠となるものと考えられた。これらの結果を、クローディン15をはじめとしたノックアウトマウスにおける結果と比較検討した。 2、生理活性物質の細胞間バリアーを介した透過性 フラジェリンなどの炎症性生理活性物質の細胞間バリアーによる物質透過性を検討したが、細胞を通過するtranscellularの経路が主に働き、paracellularの経路が主に働く例は見いだされなかった。さらに検討を進めていきたいと考えている。 3、透過性制御方法 1の記載内容とも一部重複するが、細胞間バリアーの透過性を制御する因子が存在することから、その毒性などの検討を進め、具体的応用方法を検討する段階に移ることができた。
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Research Products
(7 results)