2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞接着・運動におけるDockファミリー蛋白質の機能及びその活性制御機構の解析
Project/Area Number |
20013023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 裕教 Kyoto University, 生命科学研究科, 准教授 (50303847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 学 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60201696)
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Keywords | シグナル伝達 / 細胞・組織 / 発生・分化 / 癌 |
Research Abstract |
がん細胞の浸潤・転移は、がんの治療を困難にしている最大の要因であり、このがん細胞の浸潤・転移に深く関連のある細胞接着や運動の仕組みを解明し、その仕組みに関わる分子をターゲットとした治療法を確立することが望まれている。がん細胞の浸潤・転移に深く関連のある細胞接着や運動に関して、Rhoファミリーの低分子量G蛋白質の関与がこれまでにも数多く報告されている。最近Dock180に代表される、新しいタイプのRhoファミリーG蛋白質活性化因子(Dockファミリー)の存在が明らかになった。我々はこれまでに、RhoファミリーG蛋白質の1つRhoGがその標的蛋白質ELMOを介してDock180を活性化することを見出した。RhoファミリーG蛋白質の活性化は、GDP-GTP交換反応を促進する様々なグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)によって引き起こされるが、今回我々はRhoGを活性化するGEFとしてEphexinファミリーに属するEphexin4を見いだした。Ephexin4を細胞内に過剰発現させるとRhoGは活性化され、RhoG特異的にみられる膜ラップリング(dorsal ruffling)が形成された。また、ショートヘアピンRNAによりHeLa細胞における内在性のEphexin4をノックダウンさせると細胞運動は抑制され、ノックダウン細胞にEphexin4もしくは常時活性型RhoGを発現させることでそれは細胞運動の抑制が解除された。Ephexin4はEphA2、A4の両受容体に結合し、さらにEphA2をHeLa細胞に過剰発現させると細胞運動は促進されたが、Ephexin4をノックダウンにより抑制された。以上の結果から、Ephexin4はRhoGを活性化することで細胞運動を制御していると示唆される。さらに、Ephexin4の上流分子にはEphA受容体の関与が考えられる。
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Research Products
(7 results)