2008 Fiscal Year Annual Research Report
薬物間相互作用および腫瘍の生体リズムを基盤とした個別化治療予測システムの開発
Project/Area Number |
20014019
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤 秀人 Nagasaki University, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (90346809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 駿 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (40218699)
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Keywords | 薬物間相互作用 / 時間薬理 / 抗癌剤 |
Research Abstract |
本年は、現在臨床で使用されている複数の抗癌剤併用療法に関して、生体リズムおよび薬物問相互作用を考慮した至適投薬スケジュールを基礎研究レベルで評価した。例えば、cisplatin(CDDP)とdocetaxel(DOC)の併用では、臨床で汎用されている投与法と比較し、両剤の投薬間隔を約12時間もうけることで有意に腎毒性が軽減でき、抗腫瘍効果も向上できることが明らかとなった(J. Pharml. Phalmacol. in press)。また、irinotecan hydrochloride(CPT-11)とDOCの併用では、両剤の投薬時刻を考慮することで、臨床で汎用されている投与法と比較し、毒性を軽減できることを明らかにした。このように薬剤の特性や生体の特徴を考慮した薬物治療は非常に有用であると考えられる。 このような研究成果を基盤にプロトタイプ薬剤としてカペシタビンを、ヒト由来癌細胞としてMKN45, OVCAR-2などを対象に抗癌剤のより強い抗腫瘍効果を得るためのin vitro個別化治療予測システムの開発を開始した。カペシタビンの薬理効果を最大限に引き出すには、細胞内のカルボキシエステラーゼ、シチジンアミナーゼ、チミジンホスホリラーゼ活性が重要な役割を有する。そこで、これらの酵素に概日リズムが存在するか否かをICRマウスを対象に実施した。その結果、血中及び肝組織中のカルボキシエステラーゼに明瞭な概日リズムが存在することを明らかにした。そこで、培養細胞にserum shockを加えることで細胞内の種々の成分に概日リズムが生じる培養細胞系を作成し、同様にカルボキシエステラーゼを測定した結果、serum shock直後より活性が低下し約14時間後より活性が増加すう周期が認められた。今後、これらの周期を考慮した薬物暴露を行い、薬効の向上が可能か否か、また投与タイムミングの予測は可能か否か検討する。
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Research Products
(4 results)