2009 Fiscal Year Annual Research Report
有効な腫瘍マーカーのない婦人科悪性腫瘍に対する新しい腫瘍マーカーの確立
Project/Area Number |
20014024
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
津田 浩史 Keio University, 医学部, 講師 (00423880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 豊雅 徳島大学, 疾患ゲノム研究センター, 教授 (60291895)
青木 大輔 , 医学部, 教授 (30167788)
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Keywords | 癌 / トランスレーショナルリサーチ / 蛋白質 |
Research Abstract |
【目的】我々が新しく発見した蛋白につき、卵巣癌および子宮体癌に対して腫瘍マーカーとしての有効性を検証し、血中での測定システムを確立する。 【方法】(1)臨床検体での解析:対象:婦人科悪性腫瘍604例(卵巣癌254例、体癌163例、頸癌187例)。作製したポリクローナル抗体でHIG2蛋白の発現を検証した』(2)HIG2モノクローナル抗体の作製とHIG2-ELISA系の開発:HIG2全長(63アミノ酸)のリコンビナント蛋白質を大腸菌His融合発現系にて発現し、HPLC-His-Trapによりアフィニティ精製を行った。さらに上述の精製を繰り返し、銀染色にて大腸菌夾雑蛋白質の完全な除去を確認した。この高純度HIG2リコンビナント蛋白質を抗原としてマウスモノクローナル抗体(mAb)およびウサギポリクローナル抗体(pAb)を作製した。 【成績】(1)卵巣癌、体癌、頸癌でのHIG2蛋白発現率は80%、71%、65%であり、特に有効な腫瘍マーカーのない卵巣明細胞腺癌、子宮体部腺癌および頸部腺癌それぞれ83%、75%、67%と高発現していた。(2)作製したmAbおよびpAbの特異性を検証したが、これまでHIG2高発現の報告のある腎細胞癌培養細胞株で、両抗体は特異的に免疫沈降が可能で、さらに淡明腎細胞癌組織を特異的に強く染色した。次に、両抗体でサンドウィッチELISA法によるHIG2蛋白質検出系の樹立を行い、75ng/mLのHIG2リコンビナント蛋白質の検出に成功した。しかし、腎細胞癌患者の血漿では検出できなかった。 【結論】HIG2蛋白は卵巣癌、体癌および頸癌で有効な腫瘍マーカーになりうる可能性が示唆された。現在、作製した両抗体を用いて、血漿中HIG2を免疫沈降後の質量分析による検出系の開発を試みている。
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Research Products
(3 results)