2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクターピロリ病原因子CagAの分子構造と機能解析
Project/Area Number |
20015001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東 秀明 Hokkaido University, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (20311227)
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Keywords | 胃がん / 感染症 / ヘリコバクターピロリ / 細胞極性 / 分子立体構造 |
Research Abstract |
(1)全長CagAのプロテアーゼ限定分解解析の結果から、CagAはN末端側およびC末端側それぞれにドメイン構造を有しており、CagAのC末端側フラグメントは^1H NMR及びCDスペクトル解析から高次構造を形成しない内因性不規則構造タンパク質であることが示唆されていた。そこで、CagAと標的分子間の分子相互作用機構を解明するため、PAR1との結合に十分なCagA C末側34アミノ酸残基の同定を行い、^<15>N標識ペプチドを用いたPAR1共存下HSQCスペクトル解析を行った。その結果、PAR1結合に関わるCagAのアミノ酸残基による化学シフトの観測に成功した。 (2)CagA分子内相互作用に関わる構造基盤の解明を目的として、CagA分子内相互作用に関わる結合責任領域の同定をおこなった。CagAのN末側領域(アミノ酸1-876)に対する一連の欠失変異体を用いた実験から、CagA C末側領域(アミノ酸877-1186)との分子内相互作用にはN末側アミノ酸配列554-617及び708-821の双方が必要であることが明らかとなった。一方、CagA C末側領域配列を基に合成されたペプチドによる競合阻害実験から、CagAアミノ酸977-1077に相当するペプチドの存在により、CagA N末側及びCagA C末側フラグメント間の結合が抑制された。これらのことから、CagAはN末側領域における2つの領域が近接した立体構造をとり、この部位に対してアミノ酸977-1077で構成されるC末側領域が分子内相互作用すると推察された。また、CagAのC末側フラグメントを単独発現させた場合に比べ、N末側及びC末側フラグメントを共発現させた胃上皮AGS細胞において、より顕著な細胞形態変化が確認されるとともに形態変化を示した細胞数の増加が見られた。
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Research Products
(4 results)