2008 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス・情動応答の性差と青斑核-ノルアドレナリン神経ターゲティング法による検討
Project/Area Number |
20020005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井樋 慶一 Tohoku University, 大学院・情報科学研究科, 教授 (60232427)
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Keywords | ノルアドレナリン / 青斑核 / マウス / チロシン水酸化酵素 / 行動 / 女性ホルモン / 大脳皮質 / 海馬 |
Research Abstract |
従来用いられて来た神経毒を用いた青斑核(LC)破壊法の問題点を克服するため我々は、DBH(NA合成酵素)プロモーター下にヒトの細胞膜タンパク(human interleukin-2receptor ; hIL2R)を発現させたトランスジェニックマウスを用い、このマウスのLC内にイムノトキシン(抗hIL2R抗体-緑膿菌体外毒素複合体)を注入することにより、LCおよびLCから投射するNA神経終末を特異的かつほぼ完全に破壊する方法を開発した。イムノトキシン投与1週後にLCのNAニューロン細胞体が完全に消失し、大脳皮質、海馬などLCからの投射野におけるチロシン水酸化酵素含有神経終末が著明に減少した。そこでまず、この時点で雄マウスを用い不安情動評価のための行動実験を行った。高架式十字迷路ではLC破壊群のほうが対照群(sham手術群)と比較しopen arm滞在時間が有意に大きく、open field testでは中央区画滞在時間が有意に大きかった。同様に雌マウスで検討を行ったが、性周期に伴う血中女性ホルモン値の変動が不安情動に影響を与える可能性があるため卵巣摘除後エストラジオールの補充を行った。雌マウスでも高架式十字迷路、open field testともに雄と同様の結果を得た。したがって、イムノトキシン投与1週後の検討では雌雄ともにLC-NAニューロン系の破壊が不安を減弱させる方向にはたらくことが示唆された。ところが、大脳皮質、海馬などNAニューロン投射領域組織中NA含量を検討したところ、イムノトキシン投与1週後では対照の約半分にしか減少しておらず、2週後に90%以上減少した。一旦枯渇しだNA含量は1ヶ月経過しても回復しなかった。そこでイムノトキシン投与1ヶ月後に同様の行動実験をおこない1週後の結果と比較検討中である。
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Research Products
(12 results)