2008 Fiscal Year Annual Research Report
知的脳機能を司るヒト特有の非論理的認知バイアスの進化神経生物学的基盤
Project/Area Number |
20020035
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
入來 篤史 The Institute of Physical and Chemical Research, 象徴概念発達研究チーム, チームリーダー (70184843)
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Keywords | 刺激等価性 / 排他律 / 脳機能画像 / 道具使用 / voxel based morphometry / ニホンザル / 成体神経新生 / デグー |
Research Abstract |
ヒトの意味獲得や概念形成において特徴的なのは、論理学的に偽な推論様式であり、ヒト以外の動物にはほとんど例を見ない。本研究では、動物に広く、認められる論理的推論と、ヒトにおいてのみ特殊な発達を遂げた非論理性推論の生物学的連続性・非連続性について、神経システムの動的変化、神経細胞活動、解剖学的変化を指標として包括的に理解することを目的とした。本年度は、ヒトのf MRI実験によって、「刺激等価性」や「排他律」といった、必ずしも真ではないにもかかわらずしばしば効率的であるために"誤って"用いる傾向の強い「ヒト固有の非論理的認知バイアス」が、前頭葉-頭頂葉ネットワークによって実現されていることを示す知見を得た。また、ニホンザルが道具を手と「みなす」ことによってその使用を習熟する過程で、頭頂葉皮質の形態的膨大が起こること帝示唆する、構造MRIを用いたvoxel based morphometry による知見を得た。さらに、齧歯類デグーが道具使用行動を習得することに伴って、海馬歯状回において成体神経新生が亢進することを明らかにした。来年度以降直ちに、これらの知見を総合することによって、ヒトに至る霊長類進化の過程で、高次認知機能の獲得と発現が大脳皮質構造にどの様な生物学的変化を引き起こしたのかを再現することを試みる実験系を確立するために、現在、マーモセットの道具使用訓練系を準備して神経生物学的解析への応用を試みている。
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Research Products
(32 results)