2008 Fiscal Year Annual Research Report
双極性障害における小胞体ストレス反応系の意義についての研究
Project/Area Number |
20023035
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
加藤 忠史 The Institute of Physical and Chemical Research, 精神疾患・老化研究グループ, グループディレクター (30214381)
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Keywords | 双極性障害 / 小胞体ストレス / GABA |
Research Abstract |
我々は一卵性双生児双極性障害不一致例で発現量が異なる遺伝子の網羅的解析から、小胞体ストレス反応関連遺伝子XBP1の発現低下に注目した。今年度は、初代培養神経細胞におけるXBPlの標的遺伝子を探索するため、XBP1ノックアウト(KO)マウス由来初代培養神経細胞において、DNAマイクロアレイ解析を行った。 XbplヘテロKO々ウスどうしを交配させ、胎生12.5日のマウス胎児を摘出し、迅速genotyping後に、genotype毎に終脳より神経細胞を初代培養した。 Genotype毎に15枚のディッシュに分けて培養を行い、BDNF(100 ng/ml) 24時間刺激群、48時間刺激群、および対照群に分け、Affymetrix社GeneChipにより遺伝子発現解析を行った。野生型ニューロンでBDNFにより誘導され、xbp1ノックアウトマウスでは誘導されない遺伝子を探索したところ、23のプローブが含まれていた。これらの遺伝子で転写因子結合部位を検索したところ、CCAATおよびCREB結合部位という、XBPl結合部位に特徴的な配列が有意に多く見られた。これらのプローブには、ソマトスタチン(Sst)、ニューロペプチドY(Npy)、およびカルビンディン(Calbl)という、GABAニューロンマーカー遺伝子の4プローブが含まれていた。定量的PCRで、Xbpl KOマウス由来ニューロンでは、BDNFによるGABAニューロンマーカー遺伝子の発現誘導が低下していることが確認された。この結果は、XBP1がBDNFによるGABAニューロンの分化に関与する可能性を示唆すると考えられた。双極性障害患者死後脳ではGABAニューロンマーカーの低下が報告されており、双極性障害における小胞体ストレス反応低下とGABAニューロン病態の関連が示唆された。
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Research Products
(5 results)