2009 Fiscal Year Annual Research Report
双極性障害における小胞体ストレス反応系の意義についての研究
Project/Area Number |
20023035
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
加藤 忠史 The Institute of Physical and Chemical Research, 精神疾患動態研究チーム, チームリーダー (30214381)
|
Keywords | 双極性障害 / ミトコンドリアDNA |
Research Abstract |
我々は、双極性障害の病態に、脳内へのミトコンドリアDNA (mtDNA)欠失蓄積が関与する可能性について検討を進めてきた。また、一卵性双生児双極性障害不一致例における遺伝子発現解析から、XBPlおよび小胞体ストレス反応系に着目した。XBPlの神経系における標的遺伝子探索の結果、気分障害を伴う遺伝病であるWolfram病の原因遺伝子、WFS1が同定され、Wolfram病患者の脳でもmtDNA欠失蓄積が報告されていることから、両者が一連のパスウェイに存在すると考え、更なる検討を進めた。mtDNA欠失が脳内に蓄積する、変異Polg1の神経特異的トランスジェニック(Tg)マウスで見られる、2週間続く行動量低下がヒトにおけるうつ病エピソードに対応するかどうかを検討するため、ショ糖嗜好性試験による検討を開始した。輪回し装置付きのケージに2本の給水ボトルを同時に与え、そのうち1本は0.75%のショ糖水溶液、他方は水とし、ボトルの重量を毎日測定した。予備的な検討として、変異Polgl Tgマウス15匹について、1ヶ月間、毎口測定を行った。その結果、15匹中3匹のみに、およそ2週間の輪回し行動量の落ち込みが見られた。これまでの検討では、このTgマウスは平均して6ヶ月に1回程度のこうした行動変化を示していることから、この結果はこれまでの結果とほぼ一致していると考えられた。この行動量低下が見られている間のスクロース嗜好性を調べたところ、予想に反し、行動量が低下している期間に、ショ糖嗜好性はむしろ高まる傾向が見られた。これは、双極性障害におけるうつ状態では、非定型の特徴を伴う場合があり、非定型の特徴には過食(炭水化物飢餓)が含まれることと符合する可能性が考えられた。
|
Research Products
(3 results)