2008 Fiscal Year Annual Research Report
非破壊的分子ポイントコンタクトの形成と伝導度の3次元的計測
Project/Area Number |
20027008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥山 弘 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (60312253)
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Keywords | 1分子伝導 / 走査トンネル顕微鏡 |
Research Abstract |
本年度は銅表面にコロネン分子を蒸着し低温(6K)にてSTM測定を行い、探針を分子へ接触させる実験を行った。その結果、数マイクロアンペアの大電流にも関わらず分子は測定中安定して吸着しており、目的の1つである、非破壊的な1分子伝導測定に成功した。観測した伝導度は0.5GOと高く、分子-電極(表面)間の結合が非常に強いことを示している。一方、探針の構造が明確に規定されていないことから、探針先の構造によって測定された伝導度が多少変化することがわかった。これは全体の分子伝導が表面-分子間結合よりも探針-分子間結合の弱さに強く依存するためであると考えられる。これでは当初の目的(非破壊的伝導測定)は果たしたものの、そこに潜在する新しい物理を解明することはできない。そこで方針を変更し、分子をまず探針に吸着し、それをよく規定された電極(表面)へ接触させることにより、この問題を解決することにした。具体的にはまず銅表面にベンゼン分子を吸着させ、STM操作により1個の分子を探針側へ移動させる。その後この分子吸着探針を表面に接触させて伝導度を測定する。表面側の電極構造は明確に規定できるので、この方法により、電極構造と分子伝導の関係について初めて実験的に明らかにすることができる。現在は分子吸着探針の作成と、銅アドアトム電極との接合形成についてはルーチン的に成功しており、0.1G0の安定した分子伝導を達成している。今後は表面電極の構造を変化させて電極構造と伝導度の関係について明らかにするために、低温銅原子蒸着源をSTM真空槽へ設置する予定である。
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Research Products
(4 results)