2009 Fiscal Year Annual Research Report
チャンネル結合DWIAの枠組みによるK中間子の深い束縛状態生成反応の研究
Project/Area Number |
20028012
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小池 貴久 The Institute of Physical and Chemical Research, 岩崎先端中間子研究室, 協力研究員 (20391948)
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Keywords | K中間子原子核 / 歪曲波インパルス近似 / DWIA / チャンネル結合 / 生成反応 / 閾値効果 |
Research Abstract |
理論的に存在し得るK中間子原子核の中で最も基本的なものは"K-pp"系の束縛状態であると予想されているが、その存在は未だ実験的に確立されていない。茨城県東海村のJ-PARCにおいて、ヘリウム3標的の(飛行K-, n)反応を用いたK-pp探索実験が進行中であるが、K-ppの束縛エネルギーや幅の値を実験データから引き出すためには、理論計算によるスペクトルとの比較が必要である。そこで同反応スペクトルを理論的に十分な信頼性をもって計算できるチャンネル結合DWIA(歪曲派インパルス近似)計算の枠組みを完成させることが本研究課題の目的である。本年度の主な成果は、 1. K-pp単一チャンネルDWIA計算の枠組において、K-ppのpoleの位置は複素エネルギー平面内で固定された点ではなく、実軸上のどのエネルギー点から見るかによってその位置が変化するという"moving pole"の考え方を提唱し、スペクトルの形は"moving pole"の動き方と関係づけられることを明らかにした。これは実験データの解釈に影響を及ぼす重要な結果である。この成果はPhysical Review Cで公表した。 2. K-p―πΣ間チャンネル結合DWIA計算の枠組にさらにπAチャンネルの効果を加えた結果、これまでよりも詳細なsemi-exclusiveスペクトルの記述が可能になった。定量的議論のためにはまだ相互作用のモデルに改良の余地が残されているものの、適当な相互作用ポテンシャルさえ与えればチャンネル結合DWIA計算が可能になったことは大きな成果である。今後、他の様々な反応への応用も期待できる。以上の成果は日本物理学会、及び多数の研究会等において公表した。
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Research Products
(7 results)