2009 Fiscal Year Annual Research Report
多重活性化中間体の発生と多量化を鍵とする機能性有機元素化合物の開発
Project/Area Number |
20036021
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
坂本 健吉 Shizuoka University, 理学部, 教授 (50187035)
|
Keywords | 多重活性化中間体 / ボリルシクロプロペン / シクロプロペニルゲルミレン / ヘテロ原子置換オリゴシラン / 二重蛍光 / ボリルアニオン |
Research Abstract |
ボリル基を有するシクロプロペン誘導体の合成例はない。これは適当なボリルアニオン種が知られていなかったためである。本研究では宮浦らが開発した求核性を有するボリル銅を用いて、ボリルシクロプロペンの合成に初めて成功した。得られた化合物は空気や水に安定な白色結晶である。現在、ピナコレート部分をハロゲンに変換し、還元反応を検討中である。また、ゲルミルシクロプロペンはトリフェニルゲルミル誘導体が知られているのみであり、その反応性についてはほとんど知られていない。ここでは(アニシルジクロロゲルミル)シクロプロペンの還元を検討した。この化合物を還流ベンゼン中、ヒドロシラン存在下でカリウムと反応させることによりシクロプロピルゲルミレンの捕捉生成物が得られることが分かった。シクロプロペニル置換カルベンやシリレンは低温で環拡大し、シクロブタジエンやシラシクロブタジエンに異性化することが知られており、今回分かったゲルミレンとの反応性の差異は14族元素二価化学種の反応性の観点から興味深い。 ケイ素数6個程度までの短鎖オリゴシランとは異なり、ケイ素数7~8個以上の長鎖オリゴシランは高分子量ポリシランと同様、主鎖上の一次元励起子に由来する鋭い吸収および発光を示すことが知られている。ここではジメチルアミノフェニル基やチオアニシル基などヘテロ原子を導入したオクタシランやデカシランを合成し、その物性を母体のペルメチルオリゴシランと比較検討した。発光スペクトルを測定したところ、ベンゼン環を通して窒素や硫黄がオリゴシランと共役するヘテロ原子置換長鎖オリゴシランは極性溶媒中で顕著な二重蛍光を示すことが分かった。アリールジシランの二重蛍光は芳香族置換基をアクセプター、ジシラン側をドナーとする電荷移動状態からの発光であるとされているが、今回の化合物では逆方向の電荷移動が起こっている可能性がある。
|
Research Products
(13 results)