2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20036039
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
落合 正仁 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50127065)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 和範 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (40403696)
|
Keywords | ナイトレノイド / 臭素 / アミド / アルカン / 超原子価 / イリド / ヨウ素 |
Research Abstract |
三価の超原子価イミノブロマンが驚異的な高活性ナイトレノイドとして機能し、室温で単に混ぜるだけで、不活性脂肪族C-H結合のアミノ化反応が進行することを見出した。遷移金属触媒を必要としない反応である。イミノブロマンをシクロヘキサン中室温で24時間攪拌すると、アミド基挿入反応が進行し、トリフリルアミドが91%の収率で生成した。イミノヨーダンを遙かに凌ぐ結果である。非環状炭化水素のアミノ化ではヘキサフルオロイソプロパノールを添加すると収率が向上する。なお、メチル基C-H結合への挿入反応は全く見られない。 UVスペクトルを用いてアミド基挿入反応の反応速度を測定した後、生成物分布を考慮に入れて各C-H結合の相対的反応性を求めた。結合解離エネルギーや電子的影響のため、3級C-H結合が特に高い反応性を示した。なお、立体的影響も見られる。 シス及びトランスジメチルシクロヘキサンやシス及びトランスデカリンとの反応結果から、超原子価イミノブロマンを用いたC-H結合へのアミノ基挿入反応は立体保持で進行することがわかった。 シクロヘキサンにおける重水素同位体効果(K_H/K_D=3.72)は合理的な値であり、C-H結合の切断が反応の律速段階に関与していることを示す結果である。 反応速度論(シクロヘキサン:二次反応速度定数k_2=0.989M^<-1>s^<-1>, DH^≠=19.4kcal/mol, DS^≠=-8.38cal/mol deg)や分子軌道計算結果は、脂肪族C-H結合が超原子価イミノブロマンの負電荷を帯びた窒素原子を、超原子価臭素超脱離基とは反対側から求核的に攻撃するナイトレノイド機構即ちS_N2型反応機構を強く示唆した。
|
Research Products
(25 results)