2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20045010
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤 秀樹 Kobe University, 大学院・理学研究科, 教授 (60295467)
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Keywords | カゴ状化合物 / 層状超伝導体 / 核磁気共鳴 / ラットリング / 異方的超伝導 / 圧力誘起超伝導 |
Research Abstract |
本研究は, 新規エキゾチック超伝導体や新しい層状およびカゴ状構造を有する物質系において発現する低温量子状態を核磁気共鳴を用いて解明を目的とした。本年度は籠状クラスレート化合物であるBa_8Ga_<16>Sn_<30>の研究を中心に、ラットリングに関して微視的観点からの機構解明を行った。加えて、新しい2元系の鉄系層状化合物FeSeについても研究を開始した。これまでの研究から以下のような結果を得た。 1. Ba_8Ga_<16>Sn_<30>は2種類の籠状構造をとる1型(β相)と1種類の籠状構造をとる8型(α相)が知られており、籠形状の違いにより内包原子の大振幅原子振動(ラットリング)が異なることが指摘されている。本研究では主としてGa-NMR研究を行い、Type Iでは30K付近にラットリングによるスピン格子緩和率の増大を見いだした(2008年9月日本物理学会・分科会)。一方Type VIIIでは、Type Iとは異なりコリンハの関係式に従い、低温で緩和率に異常が見られないことを明らかにした。 2. 新しい鉄系超伝導体FeSeについてSe-NMRを行い、低温の超伝導状態においてNMR緩和率の測定から、BCS超伝導体特有のコヒーレンスピークが見えないこと、緩和率の温度依存性がT3に従っていることを明らかにし、異方的超伝導の可能性を指摘した。また、類似化合物である反強磁性体SrBa_2As_2について圧力下電気抵抗実験を研究協力者の小手川等とともに行い、3.7GPa程度の圧力下での反強磁性が消失し、34K級の超伝導相が出現することを示した。 平成20年11月12日をもって, 当初予定していた研究は遂行した。
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Research Products
(3 results)