2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属中のトリチウム吸放出挙動に及ぼす金属表面に偏析(吸着)したトリチウムの影響
Project/Area Number |
20049006
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大塚 哲平 Kyushu University, 総合理工学研究院, 助教 (80315118)
|
Keywords | トリチウム / 金属透過 / 拡散 / 捕獲 / 放出 |
Research Abstract |
本研究の目的は、トリチウムトレーサー技術により、さまざまな金属材料のトリチウム吸・放出挙動と材料表面に偏析したトリチウムの挙動とを調べ、これらの関連を明らかにすることである。 銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)およびモリブデン(Mo)の純金属材料にトリチウム含有水素を吸収させ、表面トリチウム濃度およびトリチウム放出速度をトリチウムルミノグラフィおよび液体シンチレーション計測法により、それぞれ定量する実験を実施した。いずれの材料表面にも高密度にトリチウムが偏析しており、特にCuの表面トリチウム濃度が最も高いことがわかった。これは金属中の水素溶解度のみからでは予期できないことであり、表面トリチウム汚染による被爆防止のために極めて重要な知見である。 本研究では、金属表面(表面酸化膜)のトリチウム濃度は材料内部からの供給速度である金属中の水素拡散係数に強く依存することを見いだした。すなわち、水素(トリチウム)は表面に捕獲されたままではなく、内部に溶解した水素が表面に供給され、表面から外部へと脱離・放出されることにより表面に残されたものであることを明らかにすることができた。 トリチウム透過実験装置を作製し、室温において金属膜の水素(トリチウム)透過係数および拡散係数を測定した。また、透過実験終了後に透過膜を取り外し、トリチウムルミノグラフィによって表面のトリチウム濃度を計測した。Ni膜を用いた実験では、水素透過係数および拡散係数共に実験データと過去の文献データが良く一致していた。これにより、Moやタングステン(W)について、これまでデータがなかった室温付近の水素透過係数および水素拡散係数データを補完または拡充することに成功した。
|
Research Products
(8 results)