2008 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解蛍光・中性子小角散乱法を用いた膜脂質ダイナミクスの制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
20050017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中野 実 Kyoto University, 薬学研究科, 准教授 (70314226)
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Keywords | 中性子散乱 / 蛍光 / ベシクル / ペプチド |
Research Abstract |
比較的短いアシル鎖を持つリン脂質、Dimyristoylphosphatidylcholine(DMPC)は37℃において約2.5時間、8.5時間の半減期で粒子間移動及びフリップフロップを起こすことを以前に見いだしたが、今回、DMPCのダイナミクスに及ぼすコレステロールの効果について検討した。その結果、コレステロールはDMPCの粒子間移動にはほとんど影響を及ぼさないのに対し、フリップフロップは抑制され、40%コレステロール存在下ではほぼ完全に抑制されることが判明した。細胞膜には40%近いコレステロールが含まれていることを考慮すると、細胞膜の非対称性の維持にコレステロールが大きく寄与していることが示唆された。 一方、DMPCよりもアシル鎖の長いpalmitoyloleoylphosphatidylcholine(POPC)は、粒子間移動の半減期が約90時間と非常に遅く、フリップフロップは起こさないことが判明した。また、POPCよりも極性頭部の小さいpalmitoyloleoylphosphatidic acid(POPA)はほとんど粒子間移動しないのに対し、約7時間の半減期でフリップフロップすることが明らかになった。さらに、これらのベシクルに0.5mol%の疎水性膜貫通ペプチドKALP23を導入しても、フリップフロップは促進されなかった。このペプチドは蛍光ラベル脂質をフリップフロップさせることが報告されているが、より天然に近い脂質では起こらないことが見いだされた。
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Research Products
(7 results)