2008 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ節特異的な細胞動員シグナルによる制御性細胞の組織特異的動員と自己応答性制御
Project/Area Number |
20060028
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
田中 稔之 Hyogo University of Health Sciences, 薬学部, 教授 (30217054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 晴康 兵庫医療大学, 薬学部, 准教授 (10330458)
大野 喜也 兵庫医療大学, 薬学部, 助手 (40509155)
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Keywords | 免疫学 / 細胞動員 / 血管内皮細胞 / 制御性細胞 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
【目的】リンパ節はリンパ球とともに様々な制御性細胞を動員し、獲得免疫系に潜む自己応答性の制御に必須の場を提供している。本年度は、高内皮細静脈(HEV)を介するリンパ節特異的な細胞動員機構ついて解析を進め、以下の成果を得た。【結果と考察】1. リンパ節HEV特異的な血管アドレシンを構成するnepmucinによる免疫細胞動員制御 : Igドメインをもつ新しいシアロムチンnepmucinは、リンパ節HEVに発現する組織特異的血管アドレシン(PNAd)の構成成分で、リンパ球のローリングとHEVへの接着を制御している。nepmucinのHEVにおける局在を電子顕微鏡解析したところ、nepmucinは血球細胞の血管外遊走(TEM)を制御するシアロムチンCD31と同様に、隣接するHEV内皮細胞の間隙部分にも分布することが示された。そこで、nepmucinのリンパ球の血管外遊走における機能的意義を解析した。その結果、nepmucinを発現する血管内皮細胞は対照細胞に比べてリンパ球をTEMさせる活性が増強していた。また、nepmucinは血管内皮細胞でVCAM-1やJAM-Aに比べて迅速にリサイクリングすることや、nepmucinのIgドメインに対する特異抗体がnepmucinによるTEM促進活性を中和することが示された。これらの結果から、PNAdの構成成分であるnepmucinは、リンパ球のローリングと接着ばかりでなく、TEMの制御にも関与することが示された。2. HEVを介すpDCの構成的動員の制御 : 生理的条件下でみられるリンパ節へのpDCの構成的な動員機構を解析した。その結果、CCR7欠損マウスやplt/pltマウスで、pDCのリンパ節への構成的な動員が減少していることが示された。また、未刺激pDCはCCR7を発現し、CCR7リガンドケモカインに反応してICAM-1への接着を増強することが示された。これらの結果から、HEVを介する構成的なpDCのリンパ節への動員にCCR7シグナルが重要な役割をはたすことが示唆された。
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Research Products
(11 results)