2008 Fiscal Year Annual Research Report
プログラム可能な自己組織化成長プロセスを用いた革新的機能を有する集積体の創製
Project/Area Number |
20200004
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 正道 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60376952)
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Keywords | 結晶成長 / DNAコンピュータ / 自己組織化 / フォトニック結晶 / メタマテリアル / ナノデバイス / 製膜プロセス / 相分離 |
Research Abstract |
「結晶成長論に基づく集積体の欠陥率の低減及び大面積化」に関しては、結晶成長論的アプローチにより、DNA格子の自己組織化の最適条件をわりだし、格子の完全性及び欠陥の発生メカニズムを明らかにした。その結果、一般の結晶成長と同様に、DNA格子の形成においても、過冷却度に起因するカイネティクス効果が重要であることが分かった。この知見は、従来、DNAプログラミングにおいては、経験的に知られてはいたが、定量的なデータをもとに、格子不完全性があらわれるメカニズムを解明したのは、今回が初めてであり、本申請提案におけるDNAコンピュータと結晶成長という異分野を結び付けるという構想が正しいことを裏付ける強い知見となった。「フォトニック結晶のためのコロイド結晶構造の制御」に関しては、コロイド粒子の重力沈降過程において、これまで見出されたことのない気相、液相、結晶相が同時に共存する新奇な粒子の集積(相分離)現象が見出された。この集積は、従来の集積条件と比べて少ない粒子密度、濃い塩濃度のもとでも発現した。このような現象はこれまで報告がなく、新たなフォトニック結晶の製膜プロセスとして極めて有望である。また、コロイド粒子の基板固定化に向けて、2次元テンプレートの作製を行った。今後、粒子の基板固定化技術の確立に向けて取り組む予定である。「メタマテリアルのための金属リング構造の作製」に関しては、従来のDNAタイルと比べて構造が単純であり、低コストが実現できるDNAモチーフ(特許出願中)を用いて、これを基板上にて高い歩留りで、高品質に自己組織化する製膜プロセスを見出した。本モチーフは、これまで溶液中で得られた集積体は、完全性に乏しく、また格子形成の歩留りが低かったが、本研究により、その完全性を各段に向上することが可能となった。これら異分野の研究活動を効率的に運営することを目的として、ナノデバイス研究会を開催(年度内3回)し、研究者間のシナジー効果がえられるよう工夫した。
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