2010 Fiscal Year Annual Research Report
土星の衛星タイタンで観測されたタイタンソリンの生成メカニズムの解明
Project/Area Number |
20200045
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
岩本 賢一 大阪府立大学, 理学系研究科, 助教 (00295734)
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Keywords | イオン分子反応 / 反応速度定数 / 低温移動管 / 質量分析 / 宇宙化学 / 移動度 |
Research Abstract |
本研究では、土星の衛星タイタンの大気条件(組成、温度、圧力など)を移動管内で再現し、探査機カッシーニで観測された、正/負イオンの高分子化のメカニズムを明らかにする。この結果は、タイタンソリン(靄)の組成や構造、生成過程の解明に繋がる。 今年度は本研究室で作製した低温移動管質量分析装置の性能検証のために、イオン分子反応の速度定数の測定と反応温度の測定を行った。これらの結果より、低温におけるイオンと分子の三体衝突反応を研究するための実験装置が構築できた。 1)移動管と生成物測定用質量分析装置の接続 低温移動管と四重極質量分析計を接続することで、移動管の内部で起こっているイオン分子反応による生成物の測定が可能となった。移動管から出射したイオンが、大きなエネルギーを獲得した場合、イオンが解離するため、精確な分析が行えない。この問題点を解消するために、低エネルギーで質量分析計に接続する静電レンズ系を作製した。 2)イオン分子反応の測定に関する性能検証 イオン分子反応の速度定数に関する性能を検証するために、窒素イオンと窒素分子の三体結合反応の速度定数を測定した。その結果、過去に報告されている値、k=1.9×10^<-29>cm^6s^<-1>(294K)と一致した。これにより、移動管内部の全圧と分圧、装置全般の確からしさが確認された。 3)イオン分子反応の温度に関する性能検証 反応温度を評価するために、移動管の外壁に設置した温度センサー値とイオン分子反応の反応温度に対する較正を行った。2)で測定したイオン分子反応の速度定数について、その温度依存性を測定した。移動管の温度を294Kから70Kまで変化させ、三体衝突反応の速度定数を測定したところ、過去の報告値と良い一致を示した。
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