2010 Fiscal Year Annual Research Report
スクイーズド光を利用した第3世代レーザー干渉計重力波検出器
Project/Area Number |
20200046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坪野 公夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10125271)
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Keywords | 重力波 / スクイーズド光 / レーザー干渉計 / 量子光学 / 宇宙物理 |
Research Abstract |
レーザー干渉計型重力波検出器の検出感度は,最終的には量子雑音によって制限される。量子雑音はハイゼンベルクの不確定性原理によって不可避の雑音であるため、非常に厄介な雑音の一つである。そこで、量子雑音を減少させる一つの方法として、干渉計に混入する真空場を、電場の位相または振幅の揺らぎを小さくした真空場に置き換えることが提案されている。このような真空場はsqueezed vacuumとよばれている。本研究の目的は、スクイーズド光を用いてレーザー干渉計重力波検出器の標準量子限界を打ち破り第3世代重力波検出器の可能性を切り開くことである。具体的には、レーザー干渉計重力波検出器のダークポートにスクイーズされた真空場を注入することによりショット雑音を下げる。squeezed vacuumを生成するために,第2次高調波発生やその逆過程であるパラメトリック増幅といった2次の非線形過程を利用する。このためにはPPLMNのような、大きな非線形光学定数を持つ結晶の性質を利用する。レーザーとしては、波長1064nmの出力2.1Wのメインレーザーと、出力50mWのセカンドレーザーを用いた。前者からのレーザー光はSHG,OPO,MCに利用し、後者のレーザー光はOPOのキャビティ長制御のために利用した。まずは、SHGにより550mWの第2次高調波を生成し、セカンドレーザーによってOPOの制御に成功した。次に、OPOにおけるダウンコンバージョンの確認がなされた。また、レーザー干渉計重力波検出器の散射雑音の低減を目指すためのスクイーズドアングルの制御に成功した。最終的に、スクイーズド光生成めための光学回路のパラメータを最適化することにより、本研究において-8dBのスクイージング発生に成功した。またマイケルソンタイプのレーザー干渉計にスクイーズド真空場を入射することにより、-2dBのショット雑音低減を実現した。
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Research Products
(3 results)