2008 Fiscal Year Annual Research Report
キラルルイス酸を触媒とする汎用性不斉双極性付加環化の開発と合成化学的応用
Project/Area Number |
20200052
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
菅 博幸 Shinshu University, 工学部, 教授 (60211299)
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Keywords | 1, 3-双極子 / 付加環化 / キラルルイス酸 / 分子触媒 / 不斉誘起 / エナンチオ選択性 / ジアステレオ選択性 |
Research Abstract |
1. ジアゾ化合物を1, 3-双極子前駆体とする不斉付加環化反応 (1) N-ジアゾアセチルピロリジン-2-オンを前駆体として発生させたカルボニルイリドと一置換電子不足オレフィンとの反応において、再現性に関する検討を行い、オレフィンの種類、キラルルイス酸の種類および添加剤など種々の条件を検討した結果、Pybox-Sm錯体(10 mol%)をキラルルイス酸として用い、i-PrOH(10 mol%)存在下2-アクリロイル-3-オキサゾリジノンとの反応を行うと、再現性よく高収率、高exo-選択性ならびに良好なエナンチオ選択性で付加環化体が得られることを明らかにした。また、exo-付加体はρ-TsOHで処理した後、Et_3SiHで還元するとエポキシ架橋が開環したアルコール体が立体選択的に得られ、X線結晶構造解析により相対配置を決定した。 (2) 2-ジアゾアセチルベンズアルデヒド-O-メチルオキシムを前駆体として発生させたアゾメチンイリドの反応では、2-アクリロイル-3-ピラゾリジノン誘導体を親双極子剤として用い、ビナフチルジイミン-Ni(II)錯体(20 mol%)をキラルルイス酸触媒として反応させると、高exo-選択的かつ比較的良好なエナンチオ選択性(71%)で不斉付加環化反応が進行することを明らかにした。 (3) 1-ジアゾ-2, 5-ヘキサンジオンなどの鎖状ジアゾジケトンとブチルビニルエーテルとの反応は、Pybox-Lu錯体を用いると、高exo選択性で進行し、良好な不斉誘起が認められた。 2. ジアゾ酢酸エチルを1, 3-双極子として、2-(2-アルケノイル)-3-ピラゾリジノン誘導体との不斉付加環化反応を当研究室で開発したビナフチルジイミン-Ni(II)錯体(10 mol%)をキラルルイス酸触媒として用い行うと、高エナンチオ選択的に2-ピラゾリン体が得られることを明らかにした。
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