2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内蛋白質の時空間的ダイナミクス調節による細胞応答制御機構の解明
Project/Area Number |
20200057
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大橋 一正 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (10312539)
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Keywords | 細胞骨格 / Dronpa / イメージング / コフィリン / LIMキナーゼ / アクチン / シグナル伝達 |
Research Abstract |
細胞内における細胞骨格構成蛋白質やシグナル蛋白質のダイナミックな集積と拡散は、細胞骨格やシグナル伝達の時空間的制御に寄与していることが考えられる。このような細胞内蛋白質の動的な状態を測定し理解することは細胞内シグナル伝達、細胞応答を分子レベルで理解する上で重要な点である。本年度は、前年度に引き続きDronpaを用いた細胞内アクチンのダイナミクスを計測し、単量体アクチンが細胞運動時に細胞の極性に依存した空間分布を示す可能性を検討した。その結果、細胞内の前方や後方といった区画では単量体アクチンの濃度に差がないことが明らかとなった。次に、アクチン脱重合因子であるコフィリンの局所による結合と解離がアクチン骨格の時空間的再構築に及ぼす影響を解析するために、光感受性蛍光蛋白質であるKillerRed又はHaloタグを用いて局所でのコフィリンの光不活性化を行った。その結果、コフィリンの局所における不活性化はアクチン線維を安定化させアクチン構造であるラメリポディアの伸長を促進することが明らかとなった。これと共に、コフィリンを不活性化するリン酸化酵素であるLIMキナーゼの阻害剤を用いてコフィリンの刺激依存的なリン酸化を抑制した結果、ラメリポディアの初期の形成は阻害しなかったが、その大きさが極端に小さくなり、応答の持続時間が短くなることが明らかとなった。これは、コフィリンの不活性化によって細胞膜直下でアクチン重合が起こることでその構造がシグナルセンターとして働き、その後のシグナル伝達の増幅を促していることを示唆する結果であった。さらに、微小管の安定化に関わるFurryの機能を解析し、細胞分裂期の紡錘体の安定化に寄与する結果を得た。
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