2008 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞標的化miRNAの非侵襲的送達による褐色脂肪細胞の生体内分化誘導法の創製
Project/Area Number |
20200064
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
梶本 和昭 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 特任講師 (10416216)
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Keywords | 褐色脂肪細胞 / 白色脂肪細胞 / miRNA / 発生・分化 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
研究代表者らは、以前の研究でラットの大腿部皮下白色脂肪組織から未分化細胞(ASC)を単離・培養して、褐色脂肪細胞様の機能を有する細胞へ分化させる初代培養系を確立している(論文投稿中)。そこで、この初代培養系を用いて、ASCの褐色あるいは白色脂肪細胞への分化過程におけるmiRNAの発現プロファイルを経時的に追跡した。本解析には、ヒト、マウス、ラットにおいて現在までに同走されている全てのmiRNA(1200種類以上)を網羅し、一塩基の配列の相違も高感度に識別可能なLNA(Locked Nucleic Acid)オリゴプローブを利用したマイクロアレイを用いてプロファイリングを行った。 検討開始当初、ASCが褐色様あるいは白色様の脂肪細胞へ運命分岐する段階は、分化の初期段階にあるとの予測に基づき、2通りの培養条件下で分化の初期段階に注目してmiRNAの発現プロファイルを比較解析したところ、予想に反して、いずれかの培養条件で特徴的なmiRNAは全く見いだされなかった。そこで次に、未分化細胞が脂肪を蓄積し始める成熟段階に焦点を当ててmiRNAの発現プロファイルを比較解析したところ、2通りの培養条件下でプロファイルが顕著に異なるmiRNAを数十種類見いだすことに成功した。特に、白色様への成熟過程と比較して、褐色様への成熟過程において顕著に発現レベルが増加するmiRNAの割合が多く、これらのmiRNAのプロファイルは、エネルギー消費機能に必須である脱共役タンパク質(UCP1)の発現様式と類似していたことから、ASCが褐色脂肪細胞様の機能を獲得するために極めて重要な役割を担っていることが強く示唆された(特許出願および論文投稿準備中)。
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