2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20221006
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
安藤 敏夫 Kanazawa University, 数物科学系, 教授 (50184320)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / AFM / 高速AFM / タンパク質 / 細胞 / 細胞表面 / 細胞内構造 / ダイナミクス |
Research Abstract |
我々は世界に先駆けて高速原子間力顕微鏡(高速AFM)を開発し、それを用いてタンパク質分子が示すナノメータスケールの動的挙動を撮影することに成功している。そのイメージングにより、いくつかの試料系の機能メカニズムの解明にも成功している。しかし、探針と試料との接触は極めてデリケートな試料に対しては無視できるほどには十分弱くはない。生きた細胞表面は極めて柔らかく、探針との接触で大きく変形するため、そこで起こる分子プロセスを観察することはできない。また、細胞内部を観察することができない。本研究では、我々が開発してきた高速AFM技術を更に発展させ、現在困難なこれらの観察を実現することを目指す。初年度である今年度は、新規な観察を可能にする技術の原理的な探索に重点を置いて研究を進めた。 1. 力の軽減化:カンチレバーの変位信号から試料・探針間に作用する力をリアルタイムで検出する回路の作成を試みた。高周波を扱うため、かなり難しい技術開発であることが分かった。 2. 超音波を利用した接触の検出:2つの異なる周波数の超音波を試料ステージ、カンチレバー側から照射し、それらの非線形干渉で生ずる低周波のカンチレバー振動を探針・試料間の距離の関数として測定した。試料表面に非接触の状態で振動が生ずることを期待したが、接触して初めて生ずる現象であった。但し、超音波の周波数がカンチレバーの共振周波数に比べて十分大きい条件となっておらず、まだこの方向の検証を続ける必要がある。 3. 超音波を利用した表面下構造の検出:上記と同様な設定で超音波を照射し、非線形干渉で生ずる低周波のカンチレバー振動の位相を検出した。金コロイドを樹脂に埋め込んでイメージングしたところ、表面下に埋められている微粒子の像を観察することができた。
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Research Products
(39 results)