2010 Fiscal Year Annual Research Report
二重ラセン構造制御を基盤とする新規物性・機能の開拓
Project/Area Number |
20225006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
八島 栄次 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50191101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古荘 義雄 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00281270)
飯田 拡基 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (30464150)
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Keywords | 二重ラセン / 光学活性 / 超分子 / 高分子 / キラリティー / 生体関連高分子 |
Research Abstract |
本研究では、二重鎖からなるラセン分子・高分子を創製するための一般性の高い概念の確立とその実現、構造と物性との相関の解明、情報機能(複製、情報の保存)の発現、光学分割材料への応用等を目指し、以下に示す成果を得た。 1.分子の自己複製(copy)を可能にするシステムの構築に向けての第一歩として、アミジンおよびカルボン酸部位を架橋構造として有する二重ラセン2量体をテンプレート(鋳型)に用いて、相補性モノマーの反応を行ったところ、明確なテンプレート効果が観測され反応が4倍以上速く進行することを見出した。相補的二重ラセンを介した複製の可能性を強く示唆する結果である。今後はテンプレートを様々に変えた同様の反応を行い、二重ラセンキラリティーの複製に向けた検討を実施する予定である。 2.キラル/アキラルアミジンからなる二重ラセンオリゴマー(2-5量体)上で、末端および中心部に導入したキラルアミジンの不斉が二重ラセン形成を介して伝搬(不斉増幅)することを人工二重ラセンの系として初めて実証した。 3.スピロボレートで連結された新規な二重ラセンヘリケートがナトリウムイオンの出し入れにより、ラセンがバネのように2倍以上に可逆的に伸び縮みし、光学的に純粋なヘリケートを用いた実験より、この分子スプリングの運動がラセミ化をまったく伴わない伸縮運動であることを発見した。 4.st-PMMAやポリイソシアニド、ポリアセチレン、ポリホスファゼンなどの一方向巻きのらせん構造を有する高分子が、様々な分子のキラリティーを認識し、ラセミ化合物の光学分割などへ応用できることを見出した。
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Research Products
(106 results)