2009 Fiscal Year Annual Research Report
超高速化量子分子動力学法に基づくマルチレベルトライボロジーシミュレータの開発
Project/Area Number |
20226005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮本 明 Tohoku University, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (50093076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高羽 洋充 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80302769)
遠藤 明 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90344704)
坪井 秀行 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20375182)
畠山 望 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50312666)
鈴木 愛 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 助教 (40463781)
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Keywords | トライボロジー / 量子分子動力学 / 分子シミュレーション / 量子化学計算 / Tight-Binding法 / 古典分子動力学法 / 有限要素法 / 数値流体力学 |
Research Abstract |
高信頼性・低環境負荷の自動車・機械装置の開発には、高機能かつ無リン・無硫黄の潤滑添加剤・磨耗防止剤が必要とされており、その効果的な研究開発のために、ナノ摩擦界面における被膜形成過程などトライボケミカル反応の解明手法の確立が切望されている。本研究では、超高速化量子分子動力学法の開発によって、量子論に基づいたミクロとメソ、マクロなど各レベルのトライボロジーシミュレータを統合した世界初の「マルチレベルトライボロジーシミュレータ」を実現し、新規研究領域の開拓を目的とする。平成21年度は、より高速で安定なシミュレーションを実現するため、量子化学計算プログラムから原子間相互作用ポテンシャルを精密に決定し、古典分子動力学法に適用して系の状態を安定化できることを確認するとともに、古典分子動力学法で得た原子レベルの構造を、再度量子化学計算プログラムに適用して電子状態などをチェックする方法を確立したほか、これら手法の一連の手続きを自動化するプログラムを開発した。一方、マクロレベルの視点においては、一般に摩擦面以外は連続体近似が可能であることから、有限要素法(FEM)による弾塑性体計算および数値流体力学(CFD)による流体計算を取り込んで、実験との連携を可能とするような高速大規模トライボシミュレータを開発した。摩擦面における酸化膜の考慮に代表される、メソレベルの化学反応を取り入れた既存の数値解析法は皆無といえ、界面における化学反応の計算に、従来の1000万倍もの高速化を達成した超高速化量子分子動力学法を適用することによって、化学反応を取り入れたハイブリッド化マクロレベル連続体力学シミュレータのFEMおよびCFDプログラムを世界で初めて実現した。
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