2011 Fiscal Year Annual Research Report
超高速化量子分子動力学法に基づくマルチレベルトライボロジーシミュレータの開発
Project/Area Number |
20226005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮本 明 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (50093076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高羽 洋充 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80302769)
坪井 秀行 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (20375182)
畠山 望 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50312666)
鈴木 愛 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 助教 (40463781)
三浦 隆治 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00570897)
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Keywords | トライボケミカル / 量子分子動力学法 / 設計工学 / 超高速化 / シミュレータ / 時間発展加速化理論 / 反応表現付連続体力学 / 粒子間相互作用ポテンシャル精密決定手法 |
Research Abstract |
高信頼性・低環境負荷の自動車・機械装置の開発には、高機能かつ無リン・無硫黄の潤滑添加剤・磨耗防止剤が必要とされており、その効果的な研究開発のために、ナノ摩擦界面における被膜形成過程などトライボケミカル反応の解明手法の確立が切望されている。本研究では、超高速化量子分子動力学法の開発によって、量子論に基づいたミクロとメソ、マクロなど各レベルのトライボロジーシミュレータを統合した世界初の「マルチレベルトライボロジーシミュレータ」を実現し、新規研究領域の開拓を目的とする。平成23年度は、昨年度までに開発し、その実在系への有効性が確認された各種シミュレーションプログラムを活用し、エンジン添加剤のトライボケミカル反応機構における詳細な解析研究を行うとともに、これらの応用事例からフィードバックされた情報に基づいて、シミュレーションプログラムのさらなる高精度化、高速化などの改良を行った。解析対象としては、フリクション低減用添加剤であるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(Mo-DTC)に代表される様々な潤滑油添加剤を用いた。また、シミュレーション結果と実験データを直接比較し、シミュレーションの精度を高めるため、昨年度開発した界面潤滑剤-分子解析のための和周波発生SFGシミュレータ、基準振動解析に基づくIRラマンスペクトルシミュレータ、および分子動力学法に基づくIRラマンスペクトルシミュレータを活用し、シミュレーションパラメータの最適化を行った。実験データについては、トライボロジー実験研究において世界的にも第一人者であるリヨン工科大学のJean Michel Martin教授から提供とアドバイスを頂いた。その結果、これらのシミュレーション研究により、実在系のエンジン添加剤に対して、実際の開発研究に有用な各種の知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりのシミュレータ開発に加えて、実際の実験データと直接比較できるシミュレータの開発により、実在のトライボロジー現象に対し、より効果的にシミュレーションを適用できるようになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発した各種シミュレータの、実在系のトライボロジー現象への応用をさらに進め、より高精度で実践的なシミュレーションソフトウェアとなるよう、プログラムの改良を進めていく。
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