2010 Fiscal Year Annual Research Report
アクチンフィラメントの構造と動態:特にカルシウム調節のメカニズムの解明
Project/Area Number |
20227008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前田 雄一郎 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (10321811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 哲博 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (30360613)
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Keywords | アクチン / アクチンフィラメント / アクチンのトレッドミリング / 筋収縮のカルシウム調節 / トロポニン / 遺伝性心疾患 / X線繊維回折 / 高分解能構造解析 |
Research Abstract |
アクチン重合体の構造の解明と、アクチン・トレッドミリング分子運動のメカニズム解明で成果があった。 アクチン重合体P端の構造:独自に開発した電子顕微鏡写真画像解析法を使って、アクチン重合体のP端の分子構造を初めて解明した。P端のアクチン分子は隣接分子に向かって約12度傾き、そのため両分子間にP端特異的なループ・ループ間の新規結合が形成される。このため,P端でのアクチン分子の重合・脱重合の速度定数はB端に比して一桁遅くなる。そのためにトレッドミリングの走行がB端方向となる。蛋白質相互作用によって駆動される一方向運動系は数多くあるが,運動方向決定のメカニズムを解明した最初である。 アクチン重合体B端からCPを外すメカニズム:CP(キャッピング蛋白質)はアクチン重合体のB端に結合して,B端での重合と脱重合を阻害し、トレッドミリングで重要な役割を担う。本研究ではCARMILペプチドがアクチン重合体B端からCPを解離させるメカニズムを複合体の結晶構造を得て解明した。CARMILペプチドは2次構造を持たない伸展ペプチド鎖として,B端に結合するCPに結合する。この結合は、CPの形態をほとんど変えないが、CP形態の揺動を有効に阻害することによってCPをB端より解離させるようだ。 SpireはアクチンフィラメントB端に結合する:トレッドミリングのメカニズムを理解するためには、調節蛋白質がアクチン重合体上のどこに結合するか、B端かP端かそれとも側面か、を知ることは重要である.しかし生化学実験や1分子計測ではそれを決定できない.本研究ではまず標識分子としての金クラスターを独自に開発し,電子顕微鏡写真の画像解析法と組み合わせて,容易に結合部位を決定する手法を編みだした。次にこの方法を使って調節蛋白質spireのWH2ドメインを含むN端側半分がアクチンフィラメントB端に特異的に結合することを解明した。これはspireが核形成促進因子ではないことを示唆する。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Electron Microscopic Visualization of the Filament Building Mode of Actin-Binding Proteins2011
Author(s)
Ito T., Hirayama T., Taki M., Iyoshi S., Dai S., Takeda S., Kimura-Sakiyama C., Oda T., Yamamoto Y., Maeda Y., Narita A.
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Journal Title
The Journal of Molecular Biology
Volume: 408(1)
Pages: 26-39
Peer Reviewed
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