2008 Fiscal Year Annual Research Report
脂質輸送に関与するABC蛋白質の生理的基質と機能の解明
Project/Area Number |
20228001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植田 和光 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 教授 (10151789)
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Keywords | ABCタンパク質 / 善玉コレステロール / 生活習慣病 / プロテアソーム / 動脈硬化 / ケミカルライブラリー / アルツハイマー / 遺伝病 |
Research Abstract |
本研究は、疾病に関係したり、重要な生理的機能が予想されるにもかかわらず基質が同定されていないABC蛋白質の生理的基質および生理的役割を解明することを目的とする。本年度は、まず疾病に関係したり、重要な生理的機能が予想される15種類のマウスおよびヒトABC蛋白質のヒト培養細胞を用いた発現系を構築した。そのうち、10種類に関しては精製条件の検討を行った。さらに善玉コレステロールの形成に必須な働きをしているABCA1に関しては、その活性を活性化あるいは阻害する化合物を、京都大学化学研究所上杉教授が収集した非常にユニークな構造をもつ化合物ライブラリーから約5000種類をスクリーニングし、一次スクリーニングにおいて20程度の候補物質を得た。ABCA1は細胞内のコレステロールを血液中のアポリポタンパク質A-I(apoA-I)に受け渡して、善玉コレステロールの形成するが、善玉コレステロール形成が細胞膜上のABCA1と細胞内小胞上のABCA1のどちらが寄与しているのか明らかではなかった。そこでABCA1とapoA-Iの細胞内動態を解析した結果、通常培養条件下でのマクロファージではABCA1とapoA-Iによるコレステロール排出のほとんどが細胞膜上で行われているに対し、細胞内にコレステロールを蓄積させたマクロファージではABCA1/apoA-Iのエンドサイトーシス・リサイクル経路がコレステロール排出に重要な役割を果たしていることが明らかになった。さらにABCA1の分解に関わる因子を探索したところ、タンパク質の脱ユビキチン化に関わる細胞内因子の同定に成功した。善玉コレステロール形成を促進する上で重要なターゲットになると期待できる。
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Research Products
(9 results)