2010 Fiscal Year Annual Research Report
行動選択の価値のアップデートと記憶におけるドーパミン系と眼窩前頭皮質の役割
Project/Area Number |
20240040
|
Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
木村 實 玉川大学, 脳科学研究所, 教授 (40118451)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 直幸 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (00252726)
|
Keywords | ドーパミンニューロン / 線条体 / 価値判断 / 報酬予測 / 報酬予測誤差 / 試行錯誤 / 目標・ゴール / 強化学習 |
Research Abstract |
木村のグループは、従来の研究成果に基づいて、「ドーパミンニューロンや線条体の細胞が担う報酬価値の情報は、強化学習仮説が示すとおり、試行錯誤によって感覚事象や行動の選択肢のもつ報酬価値をアップデートする上で特に重要であり、学習が完成したあとではドーパミンニューロンは活動せず、長期的な記憶として大脳皮質に保存される。一旦特定の事象での報酬価値が確定すると、価値判断が求められる状況では大脳皮質の保存されている情報が線条体やドーパミンニューロンに伝達されて使用される」という作業仮説を検証するための実験と理論による共同研究を行った。研究課題の提案時点では、眼窩前頭皮質の神経活動の遮断による行動課題遂行とドーパミンニューロンの放電活動への影響を調べることを検討していたが、ドーパミンニューロンの新しい活動特性を見出したので、この研究に焦点を当てて成果を得た。ドーパミンニューロンは報酬の期待やその誤差信号を担うことが知られているが、遠くの目標を達成するために将来試みる可能性のある複数ステップの行動の各々について、期待される報酬がどれだけ高いか、低いかに関する情報と、その期待値の誤差情報を担うかどうか不明であった。木村らは、この点を明らかにするための実験・計算論パラダイムを考案し、サルのドーパミンニューロンの活動を調べたところ、半数以上のニューロンが長期的な報酬価値とその誤差を表現することを発見した。この信号は、複数ステップの行動を試行錯誤で試しながら軌道修正しつつ、最終的に最も望ましい(高い価値の)結果を得ること(ゴール)につなげる上で必須の役割を担うと考えられる。
|
Research Products
(6 results)