2009 Fiscal Year Annual Research Report
海洋有機物の統合的理解-有機物プールの消長と地球表層炭素循環へのインパクト-
Project/Area Number |
20241005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田上 英一郎 Nagoya University, 大学院・環境学研究科, 教授 (50133129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 成光 宮崎国際大学, 比較文化学部, 教授 (50261243)
西田 民人 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教 (60313988)
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Keywords | 海洋有機物プール / 物質循環 / 有機地球化学 / 溶存有機物 / 懸濁態有機物 |
Research Abstract |
本研究では、海洋有機物プール消長がもたらす地球表層炭素循環へのインパクトを明らかにするために海洋有機物動態の総合的理解を目指す。本研究の目的を達成するための2つのアプローチで研究を推進している。 一つは、ハイスループット分析法を用いて溶存有機物の分布を求め、その特徴から溶存有機物動態を明らかにするアプローチである。溶存有機物中のCDOM(chromophoric dissolved organic matter)について、太平洋海盆スケールの分布を求めた。その結果、表層(0~200m)及び中層(200~1000m)水中のCDOMは、表層から中層へかけて濃度は大きく減少するものの、分光学的特徴は同じであった。一方、深層(1000m~海底)水中のCDOMは、表・深層水中のそれと異なっており、海洋大循環の影響を強く受けている事を示した。 二つめのアプローチとして懸濁態有機物中に含まれる結合型アミノ酸の化学型を明らかにする試みを行った。その結果、結合型アミノ酸は、尿素可溶、SDS可溶、SDS/尿素不溶、の3画分に分ける事ができた。結合型アミノ酸は、従来タンパク質と考えられていたが、SDS/尿素不溶画分に結合型アミノ酸が検出された。このことから、懸濁態有機物中の結合型アミノ酸には、タンパク質とは全く異なる化学型が存在することがわかった。
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Research Products
(7 results)