2010 Fiscal Year Annual Research Report
スピンチャンネルから量子ドットへのスピンブロッケードとその量子ビットへの応用
Project/Area Number |
20241033
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
陽 完治 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (60220539)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中里 弘道 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00180266)
|
Keywords | スピン / 量子ドット / スピントランジスタ / インジウム砒素 / スピン軌道相互作用 / スピンブロッケード / 量子もつれ / 量子計算機 |
Research Abstract |
本研究は量子ドット/スピンチャンネル系によるスピンブロッケードを用いて最終的に量子ビットへの応用に道を開くことを目指している。具体的には「スピン注入および高効率スピン源開発」、「チャンネル電子のスピン制御」、「積層量子ドットへのスピンブロッケードと量子もつれの検証」の課題に分けて取り組んだ。インジウム砒素系化合物半導体と鉄電極界面における界面反応により生成される化合物がスピン注入効率をブロックしていることを界面の相図を調べることにより探索した。鉄系のスピン源を用いて観測されたインジウム砒素材料系スピントランジスタの電流振動の測定結果が理論計算とよく一致していることを確認した。金コロイドを用いるインジウム砒素ナノワイヤの結晶成長の最適化を応用してナノワイヤスピントランジスタを作製し、スピン軌道相互作用に起因すると思われる電流変調を観測した。量子ドットを集積したスピントランジスタ構造の量子計算機デバイスを作製するにはスピン注入源のスピン偏極率のいかに高いものを用いることができるかで量子も連れ状態の検証にどのように影響するのかを理論的に予測した。その結果スピン注入効率が最大40%(実績37%)のFe/インジウム砒素による強磁性/半導体ハイブリッド系では、スピンチャンネル/量子ドット系による量子もつれの実証はむずかしいこと、60%以上のスピン注入効率では有意差が見られ、80%程度のスピン偏極率があれば、明瞭に量子もつれが観測できることを理論的に予測できた。今後、本量子ドット/スピンチャンネル系による量子計算の実現のためにはスピン源としては40%程度のスピン偏極率を持つ鉄、コバルト、ニッケルのような単元素強磁性体では不十分であり高いスピン偏極率が期待されるホイスラー合金のようなハーフメタルで60%-80%が実現できることが望ましいことが分かった。
|
Research Products
(21 results)