2009 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキタスジェノタイピングによる生物多様性ホットスポットの包括的生物保全
Project/Area Number |
20241056
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井鷺 裕司 Kyoto University, 農学研究科, 教授 (50325130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 哲明 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (60192770)
加藤 英寿 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (50305413)
安部 哲人 独立行政法人森林総合研究所, 九州支所, 主任研究員 (00353558)
藤井 紀行 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (40305412)
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Keywords | 生物保全 / 絶滅危惧植物 / 生物多様性 / 環境 / 生物多様性ホットスポット / 繁殖生態 |
Research Abstract |
多くの絶滅危惧種が集中して生育するホットスポットである小笠原諸島と阿蘇山系において、個体数が数十~数百程度にまで著しく減少した絶滅危惧種を対象に、包括的な全個体サンプリングと遺伝子型の決定を行った。研究は、(1)個体レベルの具体的な生育状況調査、(2)遺伝マーカー(マイクロサテライト)開発、(3)全個体サンプリング、(4)全個体の遺伝子型決定、(5)各種遺伝解析と総合評価の段階に従ってすすめるが、平成21年度は、小笠原諸島と阿蘇山系において、上記に示した研究の(1)-(5)段階のうち、(1)個体レベルの具体的な生育状況調査と、(2)遺伝マーカー(マイクロサテライト)開発を引き続き行うとともに、平成20年度、21年度にマーカー開発が終了した種に関しては、(3)全個体サンプリングと(4)全個体の遺伝子型決定を行った。遺伝解析の結果、それぞれの対象種の種ごとに特徴ある遺伝構造が見いだされ、今後の保全活動に有益に活用できる情報を得ることができた。遺伝解析に加えて、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」で国内希少野生動植物種に指定されているハナシノブなど、保全上、特段の注意を払う必要のある種に関しては、訪花昆虫相や結果率など生態や個体群動態に関する調査も行った。ハナシノブに関しては、結果率を制限する主要因が光環境であり、それを改善することで、近年衰退の傾向にある個体群の繁殖パフォーマンスを促進できることを明らかにした。小笠原に野生に20個体未満のみ生育するハザクラキブシについては、野生個体とそれに由来する芽生え集団を対象にユビキタスジェノタイピングを行った結果、未発見の野生個体が存在することが予測できた。このことは、全個体遺伝子型解析の絶滅危惧種保全への新たな応用方法として注目に値するものである。
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Research Products
(8 results)